#その他文学

洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅵ

日本において、エルテやイカール(或いはローランサン等)は 他国では考えられないほど異常に人気がある。 これは疑問なのだが、日本には(他国と比較し)突出して それらのファンが相当多いようだが、そのファンは、 雑誌「ラ・ヴィ・パリジェンヌ」誌上で…

洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅴ

ジャコメ工房のPochoirは日本人には馴染みが無いと言っても 過言ではないが、フランスのアールデコ期の挿絵本には ジャコメ工房のPochoirがよく使われている。 (判りやすい事例を挙げれば、例えばマルティ等) ムルロー工房は、誰でも知っている。 このムル…

洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅳ

本書の挿絵はPochoirだと思われる。 ダニエル・ジャコメによる、ジャコメ工房によって、本書の挿絵は制作された。 ジャコメ工房のPochoirは、ダニエル・ジャコメ独特の創意工夫がなされており、 ジャコメ工房のPochoirの完成度はIMPRIMEUR D'ARTと言わしめる…

洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅲ

本書の印刷はパリから程近い、アルジャントゥイユにある、 Robert Coulouma印刷所で行われた。 Robert Coulouma印刷所は第一次大戦頃から第二次大戦頃にかけて 数々の有名な挿絵本が印刷されたところである。 (歴史に残るほど高名な印刷所である) 例えば、…

洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅱ

本書は、総発行数1550部の内、 アルシェ紙に刷られた限定150部の内の一冊。 この限定150部はカラー以外に、セピア色と青色の2種のsuite付。 ("本書の限定150部、それに限定40部の局紙"のものなどは、 なかなか市場に出る事は無い。極めて稀。稀覯本) 箱ま…

洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅰ

今回は、アールデコ期にフランスで活躍した、 挿絵画家シェリ・エルアールの代表作であり、 最高傑作であり(Pochoir技法の挿絵をふんだんに使った) 最大の挿絵本である、マルグリット・ド・ナヴァル著『エプタメロン』を紹介する。 (本書は私のお気に入り…

エロチカ 伊藤晴雨画『女賊捕物帖』

今回は、「あまとりあ」 1951年12月号の付録 伊藤晴雨画『女賊捕物帖』を紹介する。 (ちなみに発禁となった) 伊藤晴雨は生涯、責めと縛りを追及した。 同時代の絵師に竹下夢二がいる。 二人がモデルの女の取り合いをした話は有名である。 これほど対極的な…

洋古書 マルティ挿絵 『ダフニスとクロエの田園恋物語』Ⅱ

Marc-Charles-Gabriel Gleyre (1806-1874) 「Daphnis Et Chloe Revenant De La Montagne」 最後の絵画は Pierre-Auguste Cot (1837-1883)「The Storm」(1880) ダフニスとクロエに着想を得て、描いたと言われる。 クロエのピンクの乳首が素晴らしい。 もし…

洋古書 マルティ挿絵 『ダフニスとクロエの田園恋物語』Ⅰ

今回はロンゴス著マルティ挿絵 『ダフニスとクロエの田園恋物語』を紹介。 (私のお気に入りの一冊である) Paris, Chamontinから1934年刊行。 総モロッコ革モザイク装。比類無き、完璧なる極美本。 (保存状態は完璧、欠点無し新品同然) 上質のモロッコ革…

エロチカ 『世界艶情小説集』(1931 山東社)

今回紹介するのは、 梅原北明・小生夢坊共訳『世界艶情小説集』である。 この本は「世界性愛談奇全集」の第五巻目として、 昭和6年5月に山東社より刊行された。 ラマ僧衣麻布装であり、凝った装丁になっている。 題字がアールデコ調であり、正に時代の写し鏡…

エロチカ 『恋愛術』(1931 山東社)242冊目

今回紹介するのは、 梅原北明・小生夢坊共訳『恋愛術(上巻)』である。 この本は「世界性愛談奇全集」の第一巻目として、 昭和6年2月に山東社より刊行された。 なお、上巻のみの刊行である。 アールデコ調の美しいビロード装。

読書 『オーブリー・ビアズリー/世紀末、異端の画家』239冊目

世紀末、悪魔的エロティシズムの画家、ビアズリー。 衝撃的なデザイン感覚とジャポニズムで時代を席巻。 ビアズリー作品および関連図版を140点掲載。 近代デザインの誕生からモダン・スタイルの確立まで言及。 (本書の紹介文より抜粋) 今回は、河村錠一郎編…

エロチカ 『綺談珍聞大集成中巻』 238冊目

今回紹介するのは、梅原北明編著 『明治大正綺談珍聞大集成中巻』 である。 私が架蔵しているのは、文藝市場社より 昭和四年五月五日に刊行された、第二版(三百部)である。 本書は明治~大正期の新聞記事から珍しい記事を抜粋したもの。 様々な珍聞が掲載…

洋古書 アラステア挿絵 『サロメ』(1922)237冊目

今回はオスカー・ワイルド著アラステア挿絵『サロメ』を紹介する。 Paris, Les Editions G. Cres et Cieから1922年刊行。 (1922年が刊行初年) 背モロッコ革装。duodecimo.天金。極美本。 (遅くとも1930年代までに装丁されたと思われる) 装飾紙とモロッコ…

エロチカ 宮本 良著 『日本性語大辞典』 233冊目

今回紹介するのは、宮本 良著 『日本性語大辞典』である。 日本古来より使われし性に関する語句の辞典。 昭和3年8月20日印刷、25日発行と奥付にはあるが、 城市郎の資料には、「発売3日前に風俗禁止」 と書いて有るので、発禁本だと思われる。 刊行元は文藝…

エロチカ 斉藤昌三著『三十六人の好色家』227冊目

今回は、斉藤昌三著『三十六人の好色家』を紹介する。 創藝社から昭和31年2月15日発行。定価130円。 宮武外骨・花房四郎・村山塊多・梅原北明・・・ 等の人物を紹介した本。

昭和二十年代古書 江戸川乱歩著『幽霊塔』213冊目

今回は、江戸川乱歩著『闇に蠢く』を紹介する。 松竹株式会社出版部より昭和二十二年十一月刊行。 定価五拾円。仙花紙本で装丁は原正治郎。 彩色と言い、デザインと言い、いかにもカストリの雰囲気がある。 時代を象徴したデザインであり、この時代独特のも…

昭和二十年代古書 江戸川乱歩著『闇に蠢く』212冊目

今回は、江戸川乱歩著『闇に蠢く』を紹介する。 オールロマンス社より昭和二十二年三月刊行。定価十七円 お馴染みの毒々し表紙の仙花紙本。

昭和二十年代古書 横溝正史著『暗闇劇場』207冊目

今回は、横溝正史著『暗闇劇場』を紹介する。 昭和二十四年五月再版。一聯社より刊行。 改訂定価百円。終戦後によく見られる仙花紙本。

昭和二十年代古書 横溝正史著『白蝋怪』206冊目

今回は、横溝正史著『白蝋怪』を紹介する。 この本は蒼生社より昭和二十四年四月刊行。価120円 これは終戦後に膨大な数が刊行された仙花紙を使った 粗末な本で、勿論カバーは無い。 当時国民は娯楽に飢え、本が飛ぶように売れた時代であった。 この頃の本の…

エロチカ F・ヘンゲル著『ヘレンの日記』204冊目

今回は、F・ヘンゲル著 小野武雄訳『ヘレンの日記』を紹介する。 (Frances Lengel : Helen and Desire) 本書は1963年に限定千五百部(壱千五百円)で那須書房よりに刊行された。 (内箱・外箱附属) 内容は扉の副題にこう書かれている。 ~アルジェリ駐在…

洋古書 『世界古本探しの旅』(朝日新聞社)199冊目

パリからアトランタまで、欧米14都市の歴史と人間と古本を見つける旅。 荻野アンナ、和田忠彦、池内紀ら7人の文学者が案内するガイドブック。 各都市の地図と、オールカラー写真で紹介する。 (本書紹介文より抜粋) 紹介文に有る様に、欧米各国の古書店を巡…

おすすめの本 ロアルド・ダール著『あなたに似た人』195冊目

今回はロアルド・ダール著 田村隆一訳 『あなたに似た人』を 紹介する。ハヤカワ文庫から1976年刊行。 1970年代後半に、深夜のTV東京でダールの短編が映像化した、 海外ドラマが放映されていたのを今でも覚えている。 本作品『あなたに似た人』はダールの…

明治古書 村井弦斎著『朝日桜』(1895)189冊目

今回紹介するのは、村井弦斎著『朝日桜』である。 本書は、 春陽堂より明治28年(1895)に刊行。 挿絵は鈴木華邨が描いている。 本書は新式水雷を発明し、果敢に敵軍に立ち向かう・・・。 言わば架空戦記である。 富国強兵を目指し、亜細亜の覇者を目論んで…

明治古書 三遊亭円朝演述『塩原多助一代記 一』186冊目

今回紹介するのは、三遊亭円朝演述 若林カン蔵筆記 円朝叢談 『塩原多助一代記 一』である。 *カン蔵はPCでは出ないので、ご了承下さい。 速記法研究会より刊行。 多分刊行年は明17年(1884年)だと思われる。 私が所持しているのは、塩原多助一代記 一」で…

おすすめの本 T・ブロック著『超音速漂流』(文春文庫)183冊目

トランス・ユナイテッド航空52便がミサイルの直撃を受け、 機長は死亡、乗客は酸欠により狂暴化、無線も使用不可能・・・。 しかも地上からの誘導は不可解極まるものだった。 悪意の空を漂流し続ける巨大旅客機ストラトン797の運命は? 思わず唸る着想と堅牢…

明治古書 三村芳南著『絶世拷問 雲霧阿辰青木廼夕栄』177冊目

今回紹介するのは、三村芳南著 『絶世拷問 雲霧阿辰青木廼夕栄』である。 本書は、 錦勝堂より明治17年(1884年)に刊行。 和綴本であるが、近代出版黎明期に当たり、 金属活字と木版により構成されている。 挿絵は、一龍斎国松が描いている。 言葉狩りに慣…

明治古書 花笠文京著 『開明小説 四季の花籠』(1884)174冊目

今回紹介するのは、花笠文京(二代目1857-1926)著 『開明小説 四季の花籠』である。 本書は、繪入自由出版社より明治17年(1884年)に刊行。 和綴本であるが、出版黎明期に当たり、金属活字と木版により構成されている。 (表紙のおどろおどろしい絵が素晴…

おすすめの本 ボブ・ラングレー著『北壁の死闘』172冊目

アイガー北壁の難所、《神々のトラバース》を登攀中の クライマー二人が、奇妙な遺体を発見した。白骨化した下半身、 氷漬けになっていたため損われていない上半身。 二人は下山後警察に通報するが口止めされる。 話をききつけたBBC調査員が探り出した意外な…

洋古書16 REGNIER著 『L'ESCAPADE』169冊目

今回はREGNIER著 George Barbier挿絵 『L'ESCAPADE』を紹介する。 限定1000部。総モロッコ赤革(Janseniste)装。天金。 Paris, A.& G. Mornayより1931年に刊行。 装丁家A.Ceruttiの刻印有り。 装丁家(兼金箔押し職人)のAntoinette Ceruttiだと思われる。 …