2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

読書 前田愛著『近代読者の成立』173冊目

活字文化は近代読者を大量に生みだした. しかし,現在私たちは活字文化の王座がゆらぎはじめ「近代」 そのものの意味が問い直される時代に生きている- 天保改革期から戦後大衆社会に至る読者の実態を, 出版機構の構造,作者の意識なども含めて歴史的に考…

おすすめの本 ボブ・ラングレー著『北壁の死闘』172冊目

アイガー北壁の難所、《神々のトラバース》を登攀中の クライマー二人が、奇妙な遺体を発見した。白骨化した下半身、 氷漬けになっていたため損われていない上半身。 二人は下山後警察に通報するが口止めされる。 話をききつけたBBC調査員が探り出した意外な…

SF 『死霊たちの宴』 (1998 創元推理文庫)170~171冊目

一九六九年、新たな恐怖が世界を襲った。 ゾンビ映画の傑作にしてジョージ・A・ロメロ監督デビュー作 『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』公開の年・・ このカルト・ホラーに魅せられた作家たちによる オリジナル・アンソロジー上巻には、 終末の世での…

映画44 ウォルター・ヒル監督『トレスパス(Trespass)』

トレスパスとは“不法侵入”のこと。二大人気ラッパーの アイス・T、アイス・キューブ演じる麻薬ディーラーの取引が、 ある廃ビルで行われている。 そこに、宝探しの地図を手に入れた消防士たちが 立ち入った事から、命を狙われるハメに……。 (映画紹介文より…

洋古書16 REGNIER著 『L'ESCAPADE』169冊目

今回はREGNIER著 George Barbier挿絵 『L'ESCAPADE』を紹介する。 限定1000部。総モロッコ赤革(Janseniste)装。天金。 Paris, A.& G. Mornayより1931年に刊行。 装丁家A.Ceruttiの刻印有り。 装丁家(兼金箔押し職人)のAntoinette Ceruttiだと思われる。 …

SF マシスン著『ある日どこかで』(創元推理文庫)168冊目

脳腫瘍であと半年足らずの命と診断された脚本家リチャードは、 旅の途中、サンディエゴのホテル・デル・コロナードでひとりの女性を目にする。 女優エリーズ・マッケナ。1896年の色あせたポートレイトからほほえみかける彼女に 会おうと、彼は時間旅行を試み…

読書 ロバート・R・マキャモン著『遥か南へ』 167冊目

はずみで人を殺してしまったヴェトナム帰りのダンは、 余命いくばくもない身ながら逃避行に出た。 道連れは顔半分に痣のある美少女に、 ダンを追う三本腕の賞金稼ぎとプレスリーのそっくりさん。 アウトサイダーにされてしまった者たちは、 癒しを求めてひた…

古書 宮崎三昧著『かつら姫』(1890 春陽堂)166冊目

今回は、宮崎三昧著『かつら姫』(1890 春陽堂)を紹介する。 以前、本ブログで饗庭篁村の勝鬨を紹介した。 それと同じ、新作十二番之内の一冊である。 和紙、和綴、本文木版、挿絵木版で、 大変美しい和本である。口絵は富岡永洗。

破滅SF エドマンド・クーパー著『太陽自殺』(ハヤカワ書房)165冊目

その夏はすがすがしい快適な日が続いた。 自殺者数が年平均の5倍にはね上がった。 異様な天候異変と自殺者の激増には明らかな関連があった。 しかし、それはイギリスだけの現象ではなく、世界各地で起こった。 太陽に新種の黒点が現れ、それが未知の太陽光…

読書 ジム・ニズビット著『叫びの序曲』(1999 角川文庫)164冊目

スタンレーの血液はRHマイナスO型。 強奪された彼の腎臓は腎市場で高値がつくという。 残されたもう片方の腎臓も重大な病に冒されており余命も残り僅かと判明。 復讐に燃えるスタンレーは、血液型の情報が漏れていた 性感染症クリニックを手がかりに窃盗…

SF ウィルソン・タッカー著 矢野徹訳 『長く大いなる沈黙』163冊目

アメリカ東部は、核と細菌兵器による攻撃を受けて壊滅。 無事だった西側はミシシッピ川を境に東側を完全に隔離、 その存在を抹消した。泥酔し、東側に取り残された ラッセル・ゲイリー伍長は、何とか西へ戻ろうと画策するが・・・。 (本書紹介文より抜粋) …

映画43 『ザ・チャイルド』(1976 スペイン)

子供たちが突然大人たちを殺していくホラー映画。 スペインに旅行で訪れた生物学者と妊娠中の妻は、 渡った小島で一人も大人の姿を見かけないことを不審に思う。 彼らの目の前を横切った老人を、 追ってきた少女が撲殺する光景を目の当たりにする。 (映画紹…

エロチカ 秋田 昌美著『性の猟奇モダン―日本変態研究往来』162冊目

大正末期から昭和初年にかけて到来した 「エロ・グロ・ナンセンス」の時代。 次々に発刊された変態雑誌と、梅原北明、 中村古峡、斎藤昌三、酒井潔など日本性学の泰斗を照射し、 その眼差しのありかを検証する猟奇モダン時代の性メディア史。 目次 1 変態研…

古書 野澤富美子著『煉瓦女工』(1940 第一公論社)161冊目

今回は、プロレタリア文学、 野澤富美子著『煉瓦女工』(1940 第一公論社)を紹介。 昭和15年5月に刊行されたが、売れに売れたとみえ、 私が所持しているのは、昭和15年8月25日250版。 野澤富美子の短編集である。