読書 前田愛著『近代読者の成立』173冊目

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活字文化は近代読者を大量に生みだした.
しかし,現在私たちは活字文化の王座がゆらぎはじめ「近代」
そのものの意味が問い直される時代に生きている-
天保改革期から戦後大衆社会に至る読者の実態を,
出版機構の構造,作者の意識なども含めて歴史的に考察した本書は,
近代文学研究の新たな局面を拓いた著者の代表作である.

目次
近代読者の成立(天保改革における作者と書肆
明治初期戯作出版の動向―近世出版機構の解体
鴎外の中国小説趣味
明治立身出世主義の系譜―『西国立志編』から『帰省』まで
明治初年の読者像
音読から黙読へ―近代読者の成立
大正後期通俗小説の展開―婦人雑師の読者層
昭和初期の読者意識―芸術大衆化論の周辺続きを見る
(本書紹介文・目次より抜粋)

今回は前田愛著『近代読者の成立』(岩波現代文庫 2001)を紹介する。
タイトル通りの本で、日本の幕末明治黎明期からの近代に
おける読書という行為、また出版社の活動、それに
読者像を判りやすく説いた本である。
日本の近代文学の読者像を知る上での必読書とも言えよう。