明治古書 花笠文京著 『開明小説 四季の花籠』(1884)174冊目

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今回紹介するのは、花笠文京(二代目1857-1926)著
開明小説 四季の花籠』である。
本書は、繪入自由出版社より明治17年1884年)に刊行。
和綴本であるが、出版黎明期に当たり、金属活字と木版により構成されている。
(表紙のおどろおどろしい絵が素晴らしい)
挿絵は、当時の人気絵師の月岡芳年とその弟子の新井芳宗が描いている。
明治になっても、まだ明治十年代は江戸の戯作を引きずっていた。
この戯作もその類に漏れず、勧善懲悪、 因果応報譚になっており、
無残な挿絵が描かれている。この当時の戯作はいまだ江戸のままで、
ドギツイシーンがとても多い。しかし、それは我々の目から見た、
現在の感覚であり、当時では当たり前の感覚だったであろう。
この話には、亡霊が出てくるが、明治の世になっても、
幽霊や化け物、妖怪は、まだ当時生きていた人たちには身近な物であった。
本書は和紙を使っているので、凄く軽い。
近代の洋紙を使った本に慣れ親しんでいる、我々には驚くべき軽さである。
また和紙なので、全く劣化しておらず、あと数百年の保存が可能だと思われる。
最近になり、本書がリプリントされ、平凡社から刊行されたようだが、未見。