読書「アウシュヴィッツのタトゥー係」

アウシュヴィッツのタトゥー係
ヘザー・モリス
金原瑞人翻訳
笹山裕子翻訳
336ページ
2019年9月15日第一刷発行
双葉社

イギリスで130万部、全世界で300万部を突破したベストセラー、
待望の翻訳。第二次世界大戦下のアウシュヴィッツ
同胞に鑑識番号を刺青する役目を割り当てられたユダヤ人の男が
その列に並んでいた女性と恋に落ちて
「絶対に二人で生きてここを出る」と心を決め、
あまりに非人間的な日常の中でささやかな人間らしさと尊厳を
守り抜くために重ねた苦闘と誓いの物語。
「タトゥー係」本人の証言による実話に基づく。
(本書紹介文より抜粋)

巻末の著者注釈にはこんなことが書いてある。
これはフィクションで生存者の一人から直接聞いた証言をもとに
していますがホロコーストの正確な記録ではありません。
この残酷な事実を記録したものは多数あり、詳細さにおいて
小説が比べものになりません。興味ある読者にはそのような記録を
探すことをお勧めします。
本書はそのままの事実の列記ではなく、単純化したり、複数の人物を
組み合わせて架空の人物を創作したりしているが、
ただこの物語の出来事がほぼ現実に起きた通りではあることは疑いなく
事実として提示している情報は調査し裏づけをとったものです、
と書かれている。

アウシュヴィッツ収容所の本ではまだ本書は過酷な方ではなく
収容者の中では彼は収容所の運営側に属し、一般の囚人よりも
(生き残ることが出来たことからわかるように)
まだかろうじて人間らしい生き方が出来たし、恋愛までしている。

ドラマ化され、2024年の5月から放映しているようだが
ホロコーストアウシュヴィッツの記録でも本当に残酷で
過酷すぎるものはベストセラーにもなることはなく映像化もされない。
あまりにもそこに書かれたことが信じられないほど無情で非情で残酷
すぎるからだ。嘘か虚偽だろうと人間の心は拒否するからだ。
ただこのアウシュヴィッツ収容所での恋愛は本当にこの2人に起きたことで
戦後2人は結婚した。
本書の主人公のラリは女慣れしていて、女の扱いがうまく、
そのことが本書にも書かれており、解放後、文中の言葉を借りるならば
ポン引きまがいまでソ連兵にさせられている。

「毎朝村にいって、若く美しい女をみつけ、ここにきてわれわれと
夜をすごさないかと誘う。わかるな?」

「ポン引きをしろというんですか?」

「察しがいいな」

本書291ぺージ(原文ママ)

下記のヤフー記事には
「日本では馴染みのないテーマなので
収益にならないことや、残虐なシーンも多いことから配信されない映画や
ドラマも多い」(原文ママ)
と書かれているようにあまりにも残酷すぎるのは特に日本では
敬遠されがちなのが実情だろう。

今までのアウシュヴィッツ収容所の記録を読むとこのドラマのように勿論
綺麗では絶対ないし風呂もシャワーも解放後まで数年浴びることがなく石鹸もなく
歯も磨く環境ですらなく下着もないというのは頻繁に出てくる記述である。

The Tattooist of Auschwitz | Official Trailer | Sky
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/ZMWPujF8G3Q?si=pNDaVsIz5SC9C6pM

ホロコースト時代の実話を元にした小説
アウシュヴィッツのタトゥー係」テレビドラマ化
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/0785b9a98d8109e63d02181aefd585fcfd7503a6

The Tattooist of Auschwitz
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/BTV0vW3Lxrs?si=RqhSqURRXcLl8Obh