破滅SF エドマンド・クーパー著『太陽自殺』(ハヤカワ書房)165冊目

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その夏はすがすがしい快適な日が続いた。
自殺者数が年平均の5倍にはね上がった。
異様な天候異変と自殺者の激増には明らかな関連があった。
しかし、それはイギリスだけの現象ではなく、世界各地で起こった。
太陽に新種の黒点が現れ、それが未知の太陽光線、
「オメガ光線」を放射していることが発見されたのは、
それから間もなくのことだった・・・。
そして1980年はまさに混沌の年となり、何千万という人間が
自ら命を絶ち、イギリス政府は自然崩壊し、
もはや正常な人間社会は存在しなくなった。
世界は死に絶え、一切が無と化したのだ!
僅かに異常人だけが(狂信者、誇大妄想狂、白痴、殺人狂達が)
生き残った。人類終焉のときを迎えようとしている、この暗黒世界を
彼らはいかに生き、いかなる運命を辿ったか?
オメガ光線の猛威は一向に衰えを見せなかった・・・。
イギリスSF作家クーパーが極限状況におかれた人類に苦悩と運命を
シリアスの描いた力作長編。
(本書紹介文より抜粋)

今回はエドマンド・クーパー著 林克己訳『太陽自殺』
(all foolls' days)を紹介する。
本書はハヤカワ・SF・シリーズとして、1968年に刊行された。
原書の刊行は1966年である。
『太陽自殺』はSFの古典であり、破滅SFの一つだが、
翻訳で読めるのは本書のみである。
この本を古本屋で見つけ買った。
なかなかの作品である。
異常者のみが徘徊する混沌とした世界を上手く描いている。
主人公はそんな混沌の世界を運良く?生きており、
生き延びる為に全力を尽くす姿を淡々と描いた力作である。
この作品も本当に映画向きの素材だなと感じる。