洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅰ

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今回は、アールデコ期にフランスで活躍した、
挿絵画家シェリ・エルアールの代表作であり、
最高傑作であり(Pochoir技法の挿絵をふんだんに使った)
最大の挿絵本である、マルグリット・ド・ナヴァル著『エプタメロン』を紹介する。
(本書は私のお気に入りである)
『エプタメロン』の主軸となるテーマは愛である。
男女の愛や情を軸に語られた物語集である。
シェリ・エルアールの主な活躍の舞台は、
雑誌「ラ・ヴィ・パリジェンヌ」誌であるが、
単行本でのエルアールの最高傑作は、本書の『エプタメロン』である。
本書はParis, Javal et Bourdeauxから1932年に刊行された。
Quartoの大型本で全4巻。
総シャグラン革。美麗箱付。元表紙保存綴込。極美本(新品同様)
(挿絵は昨日作られた様に今でも鮮明である)
本書は当然、元愛書家の持ち物であるが、
やはり読んだ形跡はどこにも無く、
本書を装丁した者よりもページを捲る回数が少なかったと思われる。
(高価な茶道具を使う事無く、鑑賞するのみと同様である)

シェリ・エルアールの謎に満ちた人生は誠に興味深い。
彼はどんな人生を送ったのか?
エルアールは膨大な数のイラストを残して死んだ。
生きている間に、描くだけ描いて死んだ様な感じだ。
好きだけではとても出来ないレベルの膨大なイラストの数である。
彼の人生は、パリ娘の生活を描く事と中世フランスの世界を
描き続ける事であったと思う。(エルアールの別名義でのSM画を除く)
彼にも子孫がいるはずだが、今、どこでどうしているのか?
バルビエやブルネルスキやマルティやラボチェッタなど
彼と同時代に生きたフランスのイラストレイター達には謎が多い。