洋古書 エルアールの代表作『エプタメロン』Ⅱ

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本書は、総発行数1550部の内、
アルシェ紙に刷られた限定150部の内の一冊。
この限定150部はカラー以外に、セピア色と青色の2種のsuite付。
("本書の限定150部、それに限定40部の局紙"のものなどは、
なかなか市場に出る事は無い。極めて稀。稀覯本
箱まで装丁家に注文し、作らせる事は稀であり、
それも大型本の複数の箱を注文することは、さらに極めて稀である。
装丁はジャンセニスト装であり、飾り気が無いので、物足りなく感じる。
装丁家栃折久美子や(彼女の著作「モロッコ革の本」に登場する)
チェケルール先生が好みそうな装丁である。
栃折久美子著「モロッコ革の本」から抜粋)

『(チェケルール)先生は「お前はどんな本を美しいと思うか」と私に聞いた。
「よく選ばれた材料を使った、確かな仕事、無駄な飾りのないもの」
「私もそう思う」』

私がいかに、栃折久美子著「モロッコ革の本」に登場する、
ベルフロアさん系の装丁を好むからと言っても、
本というよりもオブジェと化した物体は好きじゃない。
手入れが難しそうで、扱いにくそうに感じるからだ。
本書は当然パッセカルトンであり、開きにくいが綴じは堅牢である。
(フランスの機械製本ではない、古典的な装丁はパッセカルトンである)
日本においての機械装丁はすべてブラデルであり、
開きやすい反面、背が割れやすく、背が外れやすい
という難点を持っている。
それは機械製本のイギリスやアメリカも同様であり、
イギリスやアメリカの機械製本の古書を見ると、
背が割れていないものを見つけるのは難しい。
フランスのパッセカルトンは開きにくい反面、
背は割れにくく、百年間以上硬く綴じる事が出来る。