SF 世界SF全集11「時果つるところ」

21世紀の文学
世界SF全集11

エドモンド・ハミルトン
時果つるところ

マレイ・ラインスター
オペレーション外宇宙

1979年4月30日再版発行
早川書房
1300円

「超原爆」の副作用によってミドルタウンは未来へ
吹き飛ばされ、数百万年先の寒冷化した地球に取り残された。
人類はすでに地球を捨てて銀河系に広がり、恒星連盟を
作り上げていたが、その連盟からの宇宙船が到着し、
市民たちを「適切な惑星」に移住させようとする。
が、ミドルタウンの市民たちはこれに抵抗する。
彼らは連盟の方針に対抗して「特殊な核反応により惑星を
内部から暖め直す」方法によって地球を再び居住可能な場所
として復活させる。ハミルトンのシリアスものの代表作。
(本書紹介文より抜粋)

本書は1980年代初頭にお茶の水の本屋で買ったと思う。
未来へタイムスリップした、町の住民がサバイバルをするSFだと
何かで当時紹介されていたので面白そうだと思い買ったもの。
同じようなものでは楳図かずおの「漂流教室」があるが、
全くの別物。「漂流教室」よりもこちらは1950年に発表なので
こちらのが古い。序盤の設定は面白いが、恒星連盟だの
が絡んで云々は私には面白くは感じなかった。
個人的には買ってまでは読むほどの作品かなとは思う。
序盤だけは面白いが、それ以降はなんかコレジャナイ感がある。

本書には「21世紀の文学」とあるが、実際の21世紀(ネット台頭以後の世界)
の今、世界SF全集の存在すら忘れ去られている。
(早川書房はまだ存在はしている)
昭和時代の当時は2024年の今とは違い、SFは読書の分野では人気があった。
また趣味や娯楽の分野で読書は人気があった。
SFの世界ですら21世紀初頭にネットやスマホが普及するなど
誰も想像もしてない。宇宙の旅、タイムマシン、核戦争などは想像しても。
(世界には無数の予言者や自称未来人がいるが、21世紀初頭に日本で大地震
起き、また日本の首相の暗殺、ウイルスのパンデミックなど
誰一人として予言はしてないが、笛を吹けば踊る奴は確実にいる)

おすすめの本 伊藤秀雄著「明治の探偵小説」

1986年10月25日発行
晶文社

明治から大正にわたり、大衆的な読物の世界に
巨歩を記した黒岩涙香、森田思軒、押川春浪たちに
よって、浪漫伝奇の中に探偵小説の妙味が開拓されてきた。
厖大な資料の渉猟によって、いままで知らされることの
なかった明治の探偵小説史が、ここに、はじめてまとめられた。
(本書紹介文より抜粋)

本書は誠に画期的な本で文字通り「明治の探偵小説」について
詳細に書かれた書誌であり、明治の探偵小説の流れを
掴むことが出来る。
私は小学生の時江戸川乱歩を読み、その乱歩は黒岩涙香
影響を受けたことを知り、それから黒岩涙香月岡芳年等に
興味を持ち、追求していくことになった。
当時は黒岩涙香に関し、良い参考図書がなく苦労した。
それから月日が経ち図書館で本書を発見した時はとても感激した。
早速本書を借り、暗記してしまうほど何度も読んだものだった。
著者の伊藤秀雄は明治、大正、昭和の探偵小説研究、
黒岩涙香研究の第一人者であり、彼の研究成果が本書である。
彼の研究成果は正に偉業であり、また唯一無二であり、
本書ほど研究の集大成は類書がなく資料的な価値がとても高い。
痒いところに手が届くように広範囲に明治の探偵小説が網羅されている。
明治の探偵小説を論じるには必読の書。

近代日本文学の牽引車としての探偵小説(PDFファイル)
黒岩涙香と翻案小説 梶山秀雄

SF 文字&文章のグロテスク描写満載「マイクロワールド」

マイクル・クライトン
リチャード・プレストン著
酒井昭伸
2012年4月25日初版発行
早川書房
(ハヤカワ・ノヴェルズ)

ピーター・ジャンセンは生物学を専攻する大学院生。
マサチューセッツ州ケンブリッジの大学で、
仲間の六人の院生と共に先端研究にいそしんでいた。
そんな七人の科学者が、新薬開発を行なう
ベンチャー企業Nanigenマイクロテクノロジーズに
リクルートされる。ハワイの謎めいた研究所に
招かれたピーターたちは、そこでハイテクを応用した
革新的な装置〈テンソル・ジェネレーター〉の存在を知るが……
やがて、Nanigenが関わる犯罪を知ったピーターら七人は、
テンソル・ジェネレーター〉によって身体を百分の一サイズに
縮められ、ハワイの密林に放り込まれてしまった。
四十八時間以内にもとの大きさに戻らないと副作用から
死を招くらしい。牙をむく獰猛な大自然を前に、
若き科学者たちは専門知識のみを武器に
ジャングルから決死の脱出を図る――。
クライトンの死後パソコンから発見された未完の遺稿を、
練達のサイエンス・ライターが書き継いだ、
巨匠の真骨頂を示す最後の傑作スリラー!

獲物をかじる不気味な物音、闇にこだまするあやしい鳴き声、
鬱蒼たる森にうごめく奇怪な虫たち――。
そのただなかで、身長二センチほどのマイクロヒューマンに
されたピーター・ジャンセンら七人の大学院生は、
持てる知識を総動員して脱出を目指していた。
その一方、彼らの存在が目障りなNanigenの社長ヴィン・ドレイクは、
武装した刺客を〈テンソル・ジェネレーター〉で縮小して送り込む。
だが、同社周辺で続発する事件に不審を抱いた警察が動き始めた。
さらに、行方不明となった院生たちを気づかう謎の人物もまた、
Nanigenをひそかに監視していた。
ピーターら若き科学者たちは無事にスーパージャングルを切り抜け、
もとの身体に戻ることができるのか? 科学とフィクションを
巧みに融合させたエンターテインメントの最先端にして、
大自然への畏敬に満ちた巨匠のラスト・メッセージ!
(本書紹介文より抜粋)

私は20世紀から本書の著者のマイクル・クライトンの映画や小説を
読んできた。その中でとても印象に残る映画がある。
それは以前本ブログで紹介した、1973年のSF映画
エストワールドである。私は初めてこの映画を見たのは
小学生の時だか今でも好きな映画の一つである。
マイクル・クライトンの初監督作品で脚本もマイクル・クライトン
によって書かれている。

本書はマイクル・クライトンの未完の遺稿を他者が完成させたものだが
私としてはとても良作に思えた。
人間が2cm程度に縮小され、ハワイのジャングルで生き延びるために
昆虫や鳥などと戦うことになる。
中でもグロテスクなのは寄生蜂、狩り蜂で獲物の体内に
卵を産み付ける。やがて孵化した蜂の幼虫は獲物の体内から食べていく。
また漢方薬として有名な例のアレみたいな描写もある。
正式な名称は検索しないとならないから書くことが出来ない。
検索すればグロ画像が無数に出てくるから。

この寄生蜂の習性を私自身が目撃したのは昭和時代の小学生の頃で
その頃私は子供にありがちな昆虫に夢中だった。
今では考えられないことである。
匂いを放す角を出しながら威嚇し、捕獲されまいとする、
アゲハチョウの幼虫を捕獲し、缶に入れて飼育した。
(大人にはグロテスクな虫の画像が出てくるので検索は一切できない。
だから正確な名称などは判らない)
やがてサナギになり、子供だった、私はサナギからアゲハチョウに
なるのを楽しみにしていた。
さてそろそろサナギからアゲハチョウになったのではないかと子供の私が
缶を開けると心臓が止まるほど驚いた。
缶の中には極めてグロテスクな黄色(レモンと同色)の幼虫が数匹いたからだ。
たぶん4匹程度だったと思う。
私は驚いて近所の友人を呼ぶと黄色の幼虫を始末してもらったと思う。
私は友人を連れて部屋に戻ったとき、その黄色の幼虫が一列になって
カーペットの上を這っていた光景をおぼろげながらも今でも思い出す、
強烈な記憶である。グロ画像が出てくるのでその黄色の幼虫が
どんな種類の蜂なのかは一切検索が出来ない。
何故か大人になってからはあれほど夢中になった、
昆虫は極めてグロテスクなだけの存在に変わってしまった。
本書に登場する、大学院生は専攻が昆虫とかなので一般人よりは
そこまでグロく感じてはいない描写がある。本書を読む読者の私は
映像のグロではなく、文字、文章のグロテスクを味わうことになった。

蜂だけではなく蟻や蜘蛛などいろんな昆虫が出てくる。
虫で凶暴なのは雌であり、狩りや戦闘、産卵を担当している。
(人間で例えれば男よりも大型で、怖いおにいさんならぬ、怖いおねえさん)
雄は生殖しか役に立たないし、雌にとっては自分と生殖をした雄は
もう食べ物でしかなく、雄を食べる。
昆虫の世界でも雌を油断させ、あるいは貢ぎ物として餌を
雌に与える雄が存在する。生殖したいが為に。
昆虫や一部の魚では雌が雄よりも大型である。
雌の目的は子供を生み、子孫を残すこと、雄の目的は雌と生殖をすること。
これだけだ。雌(雄も)はそのためなら手段を選ばない。
昆虫は機械みたいなもので、感情はなく、反応だけで生きている。
そこには恐怖という感情はなく、DNAのプログラムだけで行動する。
昆虫の行動は攻撃と回避と捕食、生殖活動しかない。
昆虫には感情がない。
昆虫には同情も感謝も哀れみも喜びも悲しみも躊躇も後悔もない。
虫の詳しい習性や行動原理などを書きたいが、
検索しなくちゃならないので出来ない。
そこで検索すればグロな昆虫の画像が出てくるからだ。

本書の中では縮小された大学院生の男女にとって
昆虫はとても恐ろしい存在になる。
人間はただの食べ物、養分として存在する。
大学院生たちが昆虫の餌になっていくが、人間が
いくらマッチョでも身体を鍛えていても、
格闘技のプロでも昆虫には敵わない。

縮小された人間は昆虫にとって移動が出来る食べ物、
養分でしかない存在になる。
昆虫にとっては縮小された人間はただの餌でしかない。
大学院生たちが食べ物としてバッタかキリギリスを
食べるシーンがある。
バッタかキリギリスというあいまいな記述なのは
確認のために再度読みたくない為だ。
巨大な昆虫と戦う場面は楳図かずおの漫画「漂流教室」で
巨大な虫と戦う場面を彷彿させる。
小型化した人間にとって水は(表面張力の影響で)まるで
スライムみたいに粘つく。
小型化した人間は筋力が増強され空気抵抗のために
高所から落下しても怪我をすることがない。
小型化した人間はすぐに喉がかわくなどの記載がある。
芋虫だかなんだかの虫が呼吸する時の音の描写が気持ち悪い。
それは昆虫でも生物だから呼吸はするんだろうけど、
今まで昆虫が呼吸する音なんて想像したことも考えたこともないから。
まだ映画化はされてはないが、映画化がされたら是非見たいものだが、
やはり相当グロテスクな映画になるだろう。

Westworld (1973) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/JoUWNBcBKkA?si=HgxNiC3hdncXDQOO

Westworld (1973) Movie Trailer
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/pmbYjVy9Xcg?si=OcQGnR-rhI3a2R8B

On Location with Westworld - 1973 - 
Behind the Scenes - High Quality
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/QuFzogv-nbs?si=QFW5T0l8TIs4DO_o

2024年1月17日追記
本記事に書いた昆虫や動物の生態、雄と雌の関係性に関し追記する。
以前、このチョウチンアンコウの雄と雌の関係には驚いたことがある。
子供の時、TVでアニメのみなしごハッチを少し見たことがあったが、
今はとてもアニメ化した昆虫さえもグロテスクでとても見られないし、
昆虫を擬人化したために、本来の昆虫の生態とは違ってしまっているので
見ていられない。蜂が卵から直接蜂になる描写があるし、
主人公のハッチが雌の蝶(女友達、彼女的存在?)と仲良くなるシーンがあるし、
雄のスズメバチや雄のカマキリがヤクザまがいで凶暴凶悪だし、
事実は雌のが大型で凶暴だとは思うし、昆虫と人間では全然違う生き物なのに、
擬人化すると無理が出てくるし、そこには整合性がなくなる。
昆虫や動物の世界では弱肉強食でしかなく、そこには人間界の利権にまみれた、
既得権の塊みたいな動物愛護団体にあるような、かわいそうとか生きる権利
とか同情、愛情とか哀れみとかは一切ない。
昆虫や動物には自分以外の昆虫や動物は自己のDNAを次世代に残すための餌、
道具、踏み台でしかない。(場合によっては人間も含む)

チョウチンアンコウの男は女に全てを捧げて逝く
メスに寄生するオスはやがてメスと一体化する
https://toyokeizai.net/articles/-/477011

寄生虫”扱い…「アンコウ」のオス、切ない生き方
 『the SOCIAL』傑作選(2018年5月9日放送より)
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/5dj1h9BNkKg?si=qf9IYYgjukxA6fDI

news.yahoo.co.jp

SF マイクル・クライトン著「タイムライン」

マイクル・クライトン
酒井昭伸
2000年5月25日初版発行
早川書房

フランスにある14世紀の遺跡で大学の
歴史調査チームが発掘したのは、
なんと現代製の眼鏡のレンズと助けを
求めるメモだった。その直後、調査チームは
スポンサーでもある巨大ハイテク企業ITCに
よって緊急に呼び出された。
遺跡発掘の責任者であるジョンストン教授の
救出に協力してほしいというのだ。
リーダーのマレクをはじめ、
チームのメンバーたちは耳を疑った。
その行き先というのが、14世紀のフランスだったからだ。
ITCはタイムマシンともいうべき装置を開発していた。
それを使えば14世紀のフランスとの往き来が可能だという。
教授救出のために14世紀に転送されたマレクたちは、
騎士たちに襲撃され死者を出すなど思わぬ事態に見舞われた。
またその影響でITCのタイムマシンに深刻な損傷が
―猶予時間は37時間。一行は教授を救出し、
無事帰還できるのか?…最先端の量子力学理論をもとに描く、
驚異のタイムトラベル歴史冒険小説。
(本書紹介文より抜粋)

発売当時、本書を期待をして買い、読んだが、
期待よりは良作とは感じなかったが全くダメという訳でもない。
タイムマシンの理論とかはどうでもよく感じる。
そこには著者のこだわりはあるのだろうが、
実現不可能なものに関し、理論などはどうでもいいと思うからだ。
そういうのは実現が可能とか完成間近になってからでいいのでは
と思ってしまう。取らぬ狸の皮算用のように。
実現の見込みがなどない理論よりも、本書なら、現代から過去へ
タイムマシンで行った登場人物がどう行動したのかが重要だし
気になる読者が多いのではないかと思う。映画化もされた。

中世ばかりにSF小説SF映画は行っているようだが、
中世だけではなく19世紀のフランスのパリにも行って欲しい。
とても面白い時代であり、現代にとても近く、時代考証の史料も
多いから再現しやすいはずだ。(しかしそれだけごまかしが
出来ない)19世紀は近代化された時代なので良い題材だと思う。
ジャック・フィニイは19世紀を舞台にした時間もののSFを
多数書いているが、もう故人だし、他の作家が書いたものを
読んでみたい。

trailer Timeline
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/wg_uk4-n_VQ?si=8GBmKxP54Ah_Jfum

映画「ナポレオン」

2023年アメリカ製作。158分。
(原題:Napoleon)

グラディエーター」の巨匠リドリー・スコット監督が
「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを主演に迎え、
フランスの英雄ナポレオン・ボナパルトの人物像を
新解釈で描いた歴史スペクタクル。
18世紀末、革命の混乱に揺れるフランス。
若き軍人ナポレオンは目覚ましい活躍を見せ、
軍の総司令官に任命される。ナポレオンは
夫を亡くした女性ジョゼフィーヌと恋に落ち結婚するが、
ナポレオンの溺愛ぶりとは裏腹に奔放なジョゼフィーヌ
他の男とも関係を持ち、いつしか夫婦関係は奇妙に
ねじ曲がっていく。その一方で英雄としてのナポレオンは
快進撃を続け、クーデターを成功させて第一統領に就任、
そしてついにフランス帝国の皇帝にまで上り詰める。
政治家・軍人のトップに立ったナポレオンと、
皇后となり優雅な生活を送るジョゼフィーヌだったが、
2人の心は満たされないままだった。
やがてナポレオンは戦争にのめり込み、
凄惨な侵略と征服を繰り返すようになる。
ジョゼフィーヌ役に「ミッション:インポッシブル
シリーズのバネッサ・カービー。
ゲティ家の身代金」でもスコット監督と組んだ
デビッド・スカルパが脚本を手がけた。
(映画紹介文より抜粋)

史実には忠実ではなく新解釈のナポレオンの映画
ということで期待せずには見た。
(アメリカ制作なので使用言語も英語だし
英語を話すナポレオンはかなりの違和感がある))
158分の長い映画だが、退屈せずには見れた。
冒頭の場面で聞き覚えがある歌声を流れて
これはエディット・ピアフだなとすぐ判った。
これはフランス革命歌ということだが
知らなかったことだ。
ナポレオンもフランス革命もそんなに興味がないので
特に感想はないが、役者の演技や衣装などは素晴らしく感じた。
結婚の宴で妻のジョゼフィーヌは他の男と楽しそうに会話し、
初夜?は息子が欲しいために服を着たまま、バックで子作りを
するが、新妻のジョゼフィーヌは冷めている。ただの作業のようだ。
そこには愛はない。夢中なのはナポレオンだけだ。
新妻のジョゼフィーヌは最初から冷めている。
喜んでいるのはナポレオンだけだ。新妻と言っても
ジョゼフィーヌは再婚で既に子供が2人いて元夫は革命で処刑。
ナポレオンは初婚。史実では6歳ほど年上。
結婚時のナポレオンは26歳で、ジョゼフィーヌは32歳ということだが
役者のホアキン・フェニックスが40代ということで
青年のナポレオンを演じるのは違和感がある。
しかしながら当時のフランスの雰囲気が味わえただけでも及第点。

NAPOLEON - Official Trailer (HD)
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/OAZWXUkrjPc?si=2e4_O5o-krsQaIK8

Edith Piaf Le Ca Ira It'll Be Fine French & English Subtitles
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/L9VoRmjxvPs?si=ZP9XuzhLIw0MnPX-

フランス革命歌】サ・イラ Ah ! ca ira
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/s75h1db2vwk?si=VwFd5d85AfsYYWyC

読書 「愛書趣味」(文庫クセジュ)

ミシェル・ヴォケール著
大高 順雄 (翻訳)
1991年6月20日第二刷発行
白水社

愛書狂を自他ともに認める著者が、
古今のさまざまな分野の貴重本・
珍本・美本・豪華本を採りあげながら、
古書の真の価値と愛書家の条件を説き、
愛書趣味の時代的変遷と
その真髄を語る本書は、フランスを
中心とするヨーロッパの古書・稀覯本
書誌をも構成し、興味深い一種の
出版文化史となっている。
(本書紹介文より抜粋)

本書を買い、ざっと読んでみた。
日本の古書に関しては過去様々な関連本が
刊行されてきた。
しかしフランスの古書に関しては類書が少なく、
本書のようにフランス人のコレクター自身が
古書収集に関し、解説したもので
日本語翻訳されている本は他には類書は聞かない。
本書の著者のミシェル・ヴォケールはフランスの作詞家で
もう故人だが過去エディット・ピアフにも曲を提供している。

日本人にとってフランスの古書は馴染みがない。
過去下記のネット記事を読んだことがある。
日本の古書店と欧州のフランス語圏の古書店
同じ業種でもかなりの差異がある。

「紳士のたしなみ」古書の魅力に迫る

www.swissinfo.ch

サバイバル映画 「雪山の絆」

2023年スペイン・アメリカウルグアイ・チリ合作。
143分。
(原題:La sociedad de la nieve)

ジュラシック・ワールド 炎の王国」
永遠のこどもたち」のJ・A・バヨナ監督が
14年ぶりに母国語であるスペイン語の映画を
手がけ、1970年代にアンデス山脈
起きた遭難事故の実話をもとに描いた人間ドラマ。
1972年。ラグビー選手団を乗せてチリへ
向かっていたチャーター機ウルグアイ空軍機571便が、
アンデス山脈中心部の氷河に墜落した。
乗客45名のうち生存者は29名。
想像を絶する過酷な環境のなかに取り残された彼らは、
生き延びるために究極の手段を取らざるを
得ない状況に追い込まれていく。

事故機に搭乗していたラグビー選手団が
所属するウルグアイのステラ・マリス学園に
通っていた作家パブロ・ビエルチが事故から
36年後に発表した著書を原作に、
極限状態に置かれた人々の恐怖と葛藤、
生への渇望と強い絆を描き出す。
Netflixで2024年1月4日から配信。
それに先立ち2023年12月22日から一部劇場で公開。
(映画紹介文より抜粋)

2時間超えの映画だが夢中で見ていたので長くは
感じなかった。また無駄なシーンもなく
サクサク映画が進んでいく。
今までウルグアイ空軍機571便遭難事故は何度も過去に
映画化はされてきたが、本映画の言語はスペイン語だし
リアリティがあり、今までで一番良い出来だと思う。
迫力があるのは飛行機の墜落シーン。
本当にその場にいて目の前で現実に起こっているのを
見ているような感じだった。それに感動する物語。

『雪山の絆』予告編 - Netflix
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/iXPmkCGKDVQ?si=ddlCmMzQ1EachZSj

La Sociedad De La Nieve | 
Trailer oficial | Netflix Espana
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/XKM6LZGZVtI?si=MU7ESuaeaSaB7-Eb

Museo "Andes 1972" 48 anos despues de la tragedia
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/bxElk4NJIJc?si=Pb-6J7ev9rkllDgb

読書 黒岩正幸著「インパール兵隊戦記」

インパール兵隊戦記―歩けない兵は死すべし
1999年2月10日発行
光人社NF文庫

「歩けない兵は死すべし」―インパール撤退時、
非情きわまりなき命令の下、雨の印緬国境へ
投入された兵士たちが辿った苛酷な情況を、
行間に怒りをにじませて叙述する
感動のノンフィクション。
天険に咲くアラカン桜を家郷に
届けんと誓った八人の兵もつぎつぎ斃れ、
一人生き残った悲しき兵隊が綴る地獄の戦場
(本書紹介文より抜粋)

過酷な戦場のインパール作戦を体験した、
まだ若き下級兵士(召集)の体験記。
著者は輸送、補給を担当する輜重兵。
敵は連合軍だけではなく、
同じ日本兵も生命を脅かす敵であった。
上官の世話を戦場であってもしなければならない。
上官の洗濯、調理などをしなければならなく、
著者は上官のために肉を焼いたら、不味いと言われ
何十発も思いっきり殴られる。
戦場ですら些細なことで体格が良い上官(下士官)に
異常とも言える回数を殴打される、地獄の日々。
またタイトルにあるように、歩けない兵士、病兵は
自決を命じられ、自決を拒否すれば同じ日本兵に銃殺、
あるいは衛生兵に元気が出る栄養剤と言われ、
昇汞を注射され殺される。マラリアでも高熱が出ても、
強制的に歩かされる。日本軍では命令を拒否することは
どんな理由があっても認められない。
それだけでなく、飢餓、原住民からの攻撃、疫病もあり、
著者は55キロあった体重が30キロまで減ったと書かれている。
そんな地獄の戦場を生き抜いた兵士の記録。

インパール作戦の立案者の牟田口中将は無能と言われている。
牛に荷物は運ばせ、牛は食料にもなると言われたが、
現地の牛は荷物を乗せるのは嫌がった。
現地の牛は荷物を引っ張る習性があったからだ。
ラカン山脈の険しい山道を(結局は)牛ではなく、
兵士が荷物を運ぶことになった。兵士は極限まで疲弊した。
もう最初からダメで、作戦自体机上の空論であった。

[兵士たちの戦争]生存者が語るインパール作戦
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/T6RRnMR3ApE?si=i3TqrePV6q8qDFte

【実録映像】 太平洋戦争8 / インパール作戦
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/i6u9PeXujAk?si=xf8Eg9DVqcZpi6bS

漫画 丸尾末広「パノラマ島綺譚/芋虫」

著者 丸尾末広 
原作 江戸川乱歩
「パノラマ島綺譚」
ビームコミックス
2008年3月7日初版初刷発行

魔神・丸尾末広が、江戸川乱歩
代表傑作を、奇跡の完全漫画化!
三年余の沈黙から覚醒した、
日本漫画界が世界に誇る魔神・丸尾末広
満を持して、巨星・乱歩の歴史的傑作に挑む!
満都震撼、ファン感涙、天下無類の、
極上怪奇幻想譚! ここに奇跡の降臨!
(本書紹介文より抜粋)

著者 丸尾末広 
原作 江戸川乱歩
「芋虫」
BEAM COMIX
2009年11月6日初版初刷発行

乱歩×丸尾、最凶の問題作。
猛毒にして絢爛たる禁忌の扉が今、開く。
手塚治虫文化賞受賞作『パノラマ島奇譚』で、
世界を震撼させた漫画界の魔神が、
再び、巨星・乱歩の原作に挑む。
今度は、乱歩全作中…
いや、日本文学史上、最も危険、最も禁忌。
丸尾末広が今、恐るべきその本領を、全面開放する。
(本書紹介文より抜粋)

21世紀初頭から丸尾末広の漫画は買っていなかった。
あれから20年以上経過したが買って読んでみた。
丸尾末広は懐かしさを覚える。
初めて彼を知ったのはまだ若い頃で1980年代のことだ。
丸尾末広でとてもインパクトがあったのは
1988年発売の「江戸昭和競作 無惨絵―英名二十八衆句」
で今でも好きな画集である。
今回紹介する「パノラマ島綺譚」「芋虫」の2冊の原作は
江戸川乱歩であるが、2冊とも丸尾末広が描く、
おどろおどろしい絵にとても合致している。

読書 小川護著「私のシベリヤ物語」 (光人社NF文庫)

私のシベリヤ物語―捕虜生活三年間の青春
2011年11月21日発行

寒さと戦い、飢えと戦い、戦友たちは孤独
の中で死んでいった―ソ満国境でソ連軍を
迎え撃った若き見習士官の抑留体験。
日々、過酷な環境にさらされながら、
明るさと希望を失わず、仲間とともに
帰還の日まで懸命に生きぬいた青年の物語。
(本書紹介文より抜粋)

前にも書いてきたことだが、今まで戦争に関する本、
記録を読み、動画も見てきた。
それにはシベリア抑留に関する記録や動画も含まれる。

本書は若き二十代の陸軍見習士官の体験だが、
悲惨な体験だけではなく、誇張や盛った話もあるだろうが、
面白おかしく書かれている。
本書にはソ連軍の女医や女囚などのソ連の女との交流が
書かれている。
その点稀有な記録だし著者は立ち回りがうまく要領が良い。
彼が抑留者の中で早期帰国出来たのはソ連若い女医が
彼を帰国させるべきだと言い張ったからだし、
彼は多くの人に助けられている。

抑留先のソ連の物品販売所のドアなしの便所
(1箇所しかないから男女混合)の記述では
(女医、将校の妻を除き)ソ連の女は下着を履いている者はなく
また便所は個室ではなく、ただ穴に板があるのみで
会話をしながら排泄をする記述がある。
(これは中国のニーハオトイレみたいなものだろう)
日本には音姫なる排泄音をごまかす装置があるが
ソ連では排泄は生理現象だから恥ずかしがるという
概念はなく、紙もないので排泄後拭くということもなく
ソ連の女たちは排泄後ケツを振るだけだという。

著者は18歳の女囚のニーナーと2人のペアを組まされ、
作業をする。
著者に言わせるとニーナーはかわいさ70点の乙女。
抑留された日本兵は常に飢餓だから性欲は0だが
ロシア人は食料が十分なので性欲もあると書かれている。
自分の名前をニーナーに教えようとするが、
ロシア人には難しいので「あなた」と呼ばせることにする。
著者は18歳のロシア娘から、まるで新婚夫婦のように
「アナーター」と呼ばれることになる。
身振り手振りと数少ないロシア語の単語で会話していくうちに、
まだ若い男女だし、エロい話もしていく。

ニーナーは段々発情してきて著者とやりたくてしょうがなくなる。
18歳のニーナーは「あなた、わたしとやりたいか?」と著者に訊く。
著者は「食べてないからナニが立たないから出来ない。
黒パンを持ってこい」と言う。
著者は作業をニーナーだけやらせ、黒パンを持ってこさせる。
著者はニーナーをはぐらかし子作りをしようとしない。
何故なら事前に日本軍軍医に女囚は性病を持っていると聞かされ
ここには性病の薬もないと言われていたからだ。
著者が全く手を出してこないのでニーナーが辛抱たまらなくなり、
著者を押し倒し、キスの範疇を超え、顔中を嘗め回す。
ニーナーはやりたいが著者はやりたくはない。
このままじゃニーナーはおさまらない。
原文のままをここに書くと「俺のホイはどうしても立たないから、
お前のをマスをかいてやるよ」
ニーナーはズボンを脱ぎ、寝転び、大股開きになる。
そこで著者は「強烈な匂い」を感じつつ、指でサービスをする。
著者はニーナーに黒パン6キロを持ってこさせたし、もう放流するかと
考え、他の日本兵に良い話(ニーナーの性欲の件は言わない)だけをして
仕事場を変えてもらう。

そういう話は他にもあり、著者は男のナニをアブに刺され、
ナニが限界まで腫れ上がった。
若い女医(若い女医しかいない)の診察を受け、それ以降、
著者が寝ているバラックまで女医が毎日きて、ナニを見せてみろと
言われ、その女医は下から手を添え、著者のナニをしみじみ
観察されるのを完治するまで繰り返される。
このように他の日本兵なら経験が出来ないことを経験し著者は帰国した。
他にはこのような手記の定番のネタである、ソ連兵は算数が出来ない
などの記述があり、ニーナーも計算が出来ないので
著者が教える記述がある。ニーナーは2年しか学校に行っておらず、
ジャガイモを盗んでシベリア送りになったという。
また民主化の吊るし上げや帰国船上での上官への報復などの記述もある。

以前、ww2関連をネットで検索していた時、
終戦ソ連軍の女性戦車兵が日本人男性をレイプしたという手記を
見つけたことがある。
女性がソ連兵にレイプされる話はドイツでも日本でもよく聞く話だが、
日本人男性がソ連の女性兵士にレイプされる話はまず聞くことはない。
本当にあったのかは確認のしようがない。
レイプがあったとして当時レイプ加害者側のソ連の女性兵士が
1945年に20歳だと仮定しても2023年には98歳になっている。
加害者も被害者ももう鬼籍に入っているだろうし、
またそんなことは両者ともに絶対公言できないことなので
確認のしようがない。しかしいつでも真実は一つで複数はない。

平和祈念展示資料館

シベリア強制抑留者が語り継ぐ労苦(抑留編) 第9巻
聞き取り調査

敗戦の苦しみ
熊本県 小佐井善次

市内の広い公園でソ連軍の女子戦車隊が約三十人ぐらい
天幕で野営していた。そこを日本人の男が通ると
必ず呼び止め、声をかけて天幕の中に引き込む。
何をするかと心配すればロシア語でフルフルと言うのである。
セックスのことで、女が男を強姦することであって、
返事しないと殺されるので仕方なく言いなりになった日本人も
いたらしく、そこは通らないようになった。
(347ページの抜粋)

https://www.heiwakinen.go.jp/wp-content/uploads/archive/library/roukunote/yokuryu/09/S_09_345_1.pdf
(記事投稿時には閲覧可能)

YOUTUBEにはシベリア抑留に関する動画が数多くある。

【抑留の記憶】ソ連捕虜として“シベリア抑留”…
命つないだ「黒パン」とは?
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/RCPpfkVdw4Y?si=kurtvmheeKqEtIn9

ラーゲリ】101歳最後の証言…極寒の森で死んだ仲間の
衣類を分けた ーシベリア抑留の記憶ー
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/5zpDQCodyww?si=6QTDMKpLUEaVySKK

強制収容所ラーゲリ」から生還 貴重な体験語る
相模原市の97歳男性【News Linkオンライン】
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/fxvHF6RamLI?si=jb47A5d-GQPLlL3V

終戦】今も耳に残る「ラボータ・ダワイ!!」 
シベリア抑留を生き延びた99歳の証言(2022年8月16日)
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/nW8s3nJkQhk?si=Ec5E6wBBrjfLida1

「語り継がねばならぬ 
人生に刻まれたシベリア抑留の記憶」山田秀三
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/63SgL8FSlXA?si=o6JxFqQ1rbXQhCYJ

ドキュメント『行き先も、分からずに~20歳の初年兵、
シベリア抑留の記憶~』
福生市制作:記憶のアーカイブプロジェクトⅠ〉
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/ifou5l3NwiU?si=84iwzQtIlpVi77Pf

オンラインで楽しむ企画展
「戦争と疫病 兵士・シベリア抑留者・海外からの引揚者」
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/Hqd5GOdvRYQ?si=3PJAWdH3LET32hcm

戦争の証言記録はこれ以上は残すことが出来ないほど年月が経過した。
今、高齢でなんとか証言できるのはww2当時の若年層でしかない。
それ以上の年齢の者は既に故人となってしまった。

読書 小倉孝誠著「推理小説の源流」

推理小説の源流―ガボリオからルブランへ
2002年3月12日初版発行
淡交社

ポーを祖とし、ドイルで完成したとされる推理小説
しかし、ひとりの仏文学者の緻密な研究が、
忘れられた作家ガボリオの驚くべき先見性を
明らかにする。ルコック探偵から、ホームズ、
ルパン、ポアロへと受け継がれていく
推理小説の正統な流れを、近代文学史に刻印し、
ガボリオの復権を果たす。
(本書紹介文より抜粋)

本書は推理小説の源流というタイトルのまま
探偵小説、推理小説というのが誕生するまでの
流れを論述したもの。
私にはガボリオやボアゴベというフランスの作家の
名前はとても懐かしく感じられた。
ガボリオやボアゴベは黒岩涙香の翻案の元ネタの
フランスの作家であるのは自明なことである。
フランスでも日本でも今では忘れ去られた作家だと
言えると思う。
ネットではそんな探偵小説、推理小説の流れを掴むことが
出来るサイトがある。

■ミステリの歴史■
1.ポーにいたる道
(4)犯罪実話読物の系譜(承前)
ヴィドックの『回想録』
http://mysterydata.web.fc2.com/HST/HST_01_04.html

■ミステリの歴史■
4.フランス 1840年代~1860年
(5)ガボリオーと探偵小説の現実性
http://mysterydata.web.fc2.com/HST/HST_04_05.html

■ミステリの歴史■
7.1880年代の探偵小説
(1)日本 黒岩涙香の翻案探偵小説
http://mysterydata.web.fc2.com/HST/HST_07_07.html

読書 「近代フランスの事件簿」

フランスでは犯罪者や娼婦でもフランス語を流暢に話す

近代フランスの事件簿―犯罪・文学・社会
小倉孝誠著
2000/9/1
淡交社

ヒ素による夫殺し(ラファルジュ事件)の裁判は、
毒物鑑定をめぐって混迷し、真相が謎のまま
美貌の妻マリーに有罪の判決がくだった。
終身刑に処せられたマリーは、
特赦で釈放された直後に世を去るが、
事件の物語性は、新聞の三面記事を
賑わしただけでなく、文学界をも刺激し、
無名時代のゾラによって『テレーズ・ラカン』が
生まれる。このほか、上流階級のスキャンダル
(フララン事件)と『ボヴァリー夫人』、
一家八人を手にかけた若き殺人鬼(トロップマン事件)
大衆紙『プチ・ジュルナル』の人気、
暗躍するアパッシュと怪盗小説のヒーロー、
アルセーヌ・ルパンの登場など、
実在の事件と文学・ジャーナリズムの密接で
危険な関係を、当時の裁判記録や担当刑事の回想録、
新聞記事や文学作品を通して明らかにする。
犯罪は文学を刺激し、虚実錯綜した創作の世界が、
またさらなる犯罪を挑発する。
現代社会にオーバーラップする問題を、
詳細な資料と知的推理で読み解く話題の一冊。
(本書紹介文より抜粋)

ざっと目を通してみた。なかなかの快著。
ガボリオやロンブローゾなどまだ私は子供の頃
若い時に知った人物が出てくる。
近代フランスの犯罪に関し書かれた論述。
もっと図版が多くても良いのにとは思った。
以前本ブログで取り上げた事がある、アパッシュに
ついても本書では書かれている。
フランスについては21世紀になり、自分なりに
調べてきてからというもの、フランスのパリは
世界有数の犯罪都市だと知った。
またバランスが取れた国家でもある。
フランスは世界に大きな影響を与えてきた。
フランス語、文学、新聞、雑誌、製本、装丁、美術、
芸術、服飾、ファッション、軍事、工業、医学、
放射線工学、原子力工学、写真、映画、料理、製菓、
ワイン、アブサン、娼婦、娼館・・・。
挙げていけばきりがない。そして犯罪や犯罪捜査までも。

読書 平山夢明著「ミサイルマン(光文社文庫)」

2010年9月10日2刷発行

凄絶な死の瞬間、破裂する電球、捻曲がる銀食器……。
〈顕現〉と名付けたそれを蒐集するため、
男は女たちを惨殺し続ける。愛娘を手に掛けたときに
現れた究極の顕現とは?(「枷」)オンナをさらっては
殺して埋めていた俺とシゲ。ある日、証拠回収のため
掘り出した死体には、とんでもない罠が仕掛けられていた。
(表題作)魂を鷲掴みにされる、史上最凶の七編を収録。
(本書紹介文より抜粋)

平山夢明の本の七冊目読了。
平山夢明の短編集だが印象に残ったのは下記の作品。
「Necksucker Blues」
「それでもおまえは俺のハニー」
ミサイルマン
あんまり設定が凝りすぎるとても読みづらい。
本書もコレジャナイ感が強かった。

読書 平山夢明著「ヤギより上、猿より下」

平山夢明
2016年6月30日発行
文藝春秋

「どうぶつ好き、あつまれ~!」
『デブを捨てに』の〈悪夢〉は、
まだ終わっていなかった――。
「こんな小説、みたことないよ!!」
〈イエロートラッシュ〉シリーズ第二弾

「あんたら全員、ヤギより上、猿より下なんだよ!」
真心山の麓にある売春宿『ホーカーズ・ネスト』に
やってきたオランウータンのポポロと、ヤギの甘汁。
動物たちの活躍ぶりに、人間の従業員たちが戦慄する……
表題作の「ヤギより上、猿より下」をはじめ、
〈シュール〉な設定、乾いた〈ユーモア〉と、
エッジの効いた〈表現〉で、〈最悪の状況〉に
巻き込まれた人々たち〈イエロートラッシュ〉の
泥沼のような日常を、スピード感あふれる
独特の文体で疾走するように描き出す全四編。

・収録作
「パンちゃんとサンダル」
タクムのおとうさんは、いつもおかあさんをなぐっています。
いもうとのアヤは、それをみて、いつもないています。
でもある日、おなじアパートのアレキサンダルが、
タクムたちをみかねて、あるていあんをしてくれました。
「婆と輪舞曲」
大高のババアは、探偵稼業の「俺」にとって暮らしの大黒柱だ。
失踪し、見つかるアテのないババアの娘を探すフリをして
金をもらっているのだ。だが、ある日別れた女房のアケミから
「俺」の娘が行方不明になったと告げられ……。
「陽気な蠅は二度、蛆を踏む」
最高の殺し屋・エンジンの元に、新たな依頼が届く。
それは、カミさんが臨月のグランのピンチヒッターで、
城島という三十代の男を殺せという内容だった。
対象者と親しくなるのが流儀のエンジンは、
やがて意外な事実を知る。
「ヤギより上、猿より下」
真心山の麓にある売春宿『ホーカーズ・ネスト』に
やってきたオランウータンのポポロと、ヤギの甘汁。
動物に負けるはずがないと思っていた従業員の姐さんたち
だったが、ポポロに指名が集中し、宿は大混乱に……。
(本書紹介文より抜粋)

平山夢明の本の六冊目読了。
本書も短編集で「デブを捨てに」と同じ装丁、造本で
簡易造本のペーパーバックになっている。
「デブを捨てに」よりは(期待し過ぎたのか)満足度は低い。
この短編集の中で印象に残ったのは「パンちゃんとサンダル」
この短編は凄まじいDV描写で読むのがきつい。
アレキサンダルは胡散臭い外人なんだが、やはり救いがない結末で
「ヒトニタヨルナ」というメモでタクムは現実を知る。

「婆と輪舞曲」はハードボイルド調。
「陽気な蠅は二度、蛆を踏む」はハードボイルド&ノワール調。
「ヤギより上、猿より下」(GOAT<(i)<APE)はドタバタ喜劇。

人により思うことはそれぞれだが、私は本書よりは
「デブを捨てに」のが満足度が高かった。
私が求めているのはコレジャナイ感が大きい。