読書 平山夢明著「ヤギより上、猿より下」

平山夢明
2016年6月30日発行
文藝春秋

「どうぶつ好き、あつまれ~!」
『デブを捨てに』の〈悪夢〉は、
まだ終わっていなかった――。
「こんな小説、みたことないよ!!」
〈イエロートラッシュ〉シリーズ第二弾

「あんたら全員、ヤギより上、猿より下なんだよ!」
真心山の麓にある売春宿『ホーカーズ・ネスト』に
やってきたオランウータンのポポロと、ヤギの甘汁。
動物たちの活躍ぶりに、人間の従業員たちが戦慄する……
表題作の「ヤギより上、猿より下」をはじめ、
〈シュール〉な設定、乾いた〈ユーモア〉と、
エッジの効いた〈表現〉で、〈最悪の状況〉に
巻き込まれた人々たち〈イエロートラッシュ〉の
泥沼のような日常を、スピード感あふれる
独特の文体で疾走するように描き出す全四編。

・収録作
「パンちゃんとサンダル」
タクムのおとうさんは、いつもおかあさんをなぐっています。
いもうとのアヤは、それをみて、いつもないています。
でもある日、おなじアパートのアレキサンダルが、
タクムたちをみかねて、あるていあんをしてくれました。
「婆と輪舞曲」
大高のババアは、探偵稼業の「俺」にとって暮らしの大黒柱だ。
失踪し、見つかるアテのないババアの娘を探すフリをして
金をもらっているのだ。だが、ある日別れた女房のアケミから
「俺」の娘が行方不明になったと告げられ……。
「陽気な蠅は二度、蛆を踏む」
最高の殺し屋・エンジンの元に、新たな依頼が届く。
それは、カミさんが臨月のグランのピンチヒッターで、
城島という三十代の男を殺せという内容だった。
対象者と親しくなるのが流儀のエンジンは、
やがて意外な事実を知る。
「ヤギより上、猿より下」
真心山の麓にある売春宿『ホーカーズ・ネスト』に
やってきたオランウータンのポポロと、ヤギの甘汁。
動物に負けるはずがないと思っていた従業員の姐さんたち
だったが、ポポロに指名が集中し、宿は大混乱に……。
(本書紹介文より抜粋)

平山夢明の本の六冊目読了。
本書も短編集で「デブを捨てに」と同じ装丁、造本で
簡易造本のペーパーバックになっている。
「デブを捨てに」よりは(期待し過ぎたのか)満足度は低い。
この短編集の中で印象に残ったのは「パンちゃんとサンダル」
この短編は凄まじいDV描写で読むのがきつい。
アレキサンダルは胡散臭い外人なんだが、やはり救いがない結末で
「ヒトニタヨルナ」というメモでタクムは現実を知る。

「婆と輪舞曲」はハードボイルド調。
「陽気な蠅は二度、蛆を踏む」はハードボイルド&ノワール調。
「ヤギより上、猿より下」(GOAT<(i)<APE)はドタバタ喜劇。

人により思うことはそれぞれだが、私は本書よりは
「デブを捨てに」のが満足度が高かった。
私が求めているのはコレジャナイ感が大きい。