おすすめの本 伊藤秀雄著「明治の探偵小説」

1986年10月25日発行
晶文社

明治から大正にわたり、大衆的な読物の世界に
巨歩を記した黒岩涙香、森田思軒、押川春浪たちに
よって、浪漫伝奇の中に探偵小説の妙味が開拓されてきた。
厖大な資料の渉猟によって、いままで知らされることの
なかった明治の探偵小説史が、ここに、はじめてまとめられた。
(本書紹介文より抜粋)

本書は誠に画期的な本で文字通り「明治の探偵小説」について
詳細に書かれた書誌であり、明治の探偵小説の流れを
掴むことが出来る。
私は小学生の時江戸川乱歩を読み、その乱歩は黒岩涙香
影響を受けたことを知り、それから黒岩涙香月岡芳年等に
興味を持ち、追求していくことになった。
当時は黒岩涙香に関し、良い参考図書がなく苦労した。
それから月日が経ち図書館で本書を発見した時はとても感激した。
早速本書を借り、暗記してしまうほど何度も読んだものだった。
著者の伊藤秀雄は明治、大正、昭和の探偵小説研究、
黒岩涙香研究の第一人者であり、彼の研究成果が本書である。
彼の研究成果は正に偉業であり、また唯一無二であり、
本書ほど研究の集大成は類書がなく資料的な価値がとても高い。
痒いところに手が届くように広範囲に明治の探偵小説が網羅されている。
明治の探偵小説を論じるには必読の書。

近代日本文学の牽引車としての探偵小説(PDFファイル)
黒岩涙香と翻案小説 梶山秀雄