おすすめの本 吉村昭著『海も暮れきる』(1980 講談社)153冊目

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尾崎放哉(おざき ほうさい、1885年1月20日(明治18年)
- 1926年4月7日(大正15年))は日本の漂泊俳人
本名は尾崎秀雄(おざき ひでお)。
小豆島土庄町の王子山蓮華院西光寺奥ノ院南郷庵の庵主となる。
ここで落ち着き、俳句の創作に没頭したが、結核に罹患する。
翌、大正15年4月7日結核が悪化し他界。享年42歳。
(尾崎放哉紹介文より抜粋)

今回は吉村昭著『海も暮れきる』(1980 講談社)を紹介する。
本書は孤高の俳人、尾崎放哉の人生を淡々と綴った佳作である。
絶望、孤独、病苦、貧困の中、死んだ尾崎放哉。
「すばらしい乳房だ蚊が居る」「咳をしても一人」などの自由句の作品がある。
尾崎放哉とて男であり、性欲は勿論有る。
離別した愛妻である、馨を思う心情がよく表現されている。
ただの独り言といえば、そうかも知れない。
しかし、尾崎放哉の女体への憧憬がよく判る。
咳をしても一人・・・咳をしたとて、誰も気にしない、
また気遣いさえもない孤独な日常がよく表現されていると思う。
本書も私は何度も読み返したものである。
これほどに壮絶な人生を送った男がいるのである。