フランス映画60 『ボヴァリー夫人』(フランス 1991)

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この間、フローベールの『ボヴァリー夫人』を
映像化した作品を見た。
1991年にフランスで製作されたもので、勿論使用言語は
フランス語であり、これだけでも私は満足である。
フランス文学の映像化作品の中で、
登場人物が英語を話すのは私は好きではない。
私はリアルティを重んじる。
だから、そんな作品はどうしても我慢ならない。
それだけで観る気を失ってしまう。
いくら映画興行の世界戦略であれ、
また世界の標準言語が英語だからという理由で、
フランス人という設定の人物が英語を話すのは
とても滑稽に感じてしまう。

この映画のエマと私のイメージのエマとは違っていた。
私がイメージするエマはもっと若く、
また髪は黒のイメージであった。
しかし、それを抜きに考えても、
この映画の出来は、とても良いと感じた。
小説を映像化されたものを見る、嬉しさや楽しさが、
余計に、この映画の評価を上げているのだろうと思う。
19世紀フランスの田舎がよく再現されている。
服装、家具、内装等、とてもリアルである。
また、エマを演じる女優の迫真の演技が素晴らしい。
エマは決して貞淑な妻でも、賢い女でもない。
傲慢で、虚栄心が強く、快楽に溺れやすく、
いつも夢ばかり見ていて、現実を直視出来ない女である。
それを見事に演じている。
エマに献身的に尽くす、夫を演じる俳優もまた素晴らしい。