読書 尾川正二著「死の島」ニューギニア

「死の島」ニューギニア 極限のなかの人間
2004年7月12日新装版発行
光人社NF文庫

前人未踏の大自然の中で、
東部ニューギニア十五万余の将兵は、
連合軍との死闘を演じつつ、暑熱と闘い、
悪疫と闘い、そして、飢餓と闘わねばならなかった。
太平洋戦争中、最も悲惨な退却と戦史に記された戦場を
凝視しながら、兵隊たちの生存を賭けた闘いの中で、
戦争と人間の相克を描く感動のノンフィクション。
第1回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
(本書紹介文より抜粋)

本書は戦記というよりは余りにも文学的過ぎて
何が戦場で起きたのかが曖昧模糊になってしまっている。
読者は戦場で何が起きたのかを知りたいのであって
戦争文学を読みたいのではないと思う。
戦争文学なら本書以外にも無数に存在する。
読者は著者が体験したことを詳細に知りたいだけであり、
そこには文学的な表現を求めてないと思う。
確かに読者の中にはこのような文学的な表現を
求めている人もいるとは思うが、
私には合わない文体であった。
しかしながら著者にとってニューギニア戦がどんな試練
苦行だったのかは理解出来る。
著者と連合国の教会の修道女、それに原住民の交流などが印象に残る。