読書「吐きたいほど愛してる。(新潮文庫)」

新堂冬樹作品の衝撃!

新堂 冬樹 (著)
吐きたいほど愛してる。
 (新潮文庫)
2007/7/30

愛、それは気高く美しきもの。
そして、この世で最も恐ろしいもの。
毒島半蔵の歪んだ妄想が、この世を地獄へと塗り替える。
虚ろな心を抱える吉美が、浮気を続ける亭主に狂気をぶつける。
傷を負い言葉を失った、薄幸の美少女・まゆか。
実の娘に虐待され続けている、寝たきり老人・英吉。
暴風のような愛情が、人びとを壊してゆく!
新堂冬樹にしか描けなかった、暗黒純愛小説集。
(本書紹介文より抜粋)

私はネットで何か面白い本はないだろうかと
探していた時、本書を見つけた。
かなりグロテスクということだった。
新堂冬樹という作家は聞いたことがあるような
ないような・・・。買って早速読んでみた。
「まゆかの恋慕」がとても悲しかった。
「お鈴が来る」も悲しかった。
作者はwikiによれば昆虫好きということで
グロイ昆虫が出てくる。(だからこの表紙なのか!)
結論はここまでの作品、架空の小説と言えども
よくぞこれを出版出来たものだと感心した。
マルキドサドの小説など新堂冬樹の小説に比べれば、
まるで牧歌的なほのぼのした作品に思えてくる。
作品としてはとてもよく出来たものだが、
これは人に薦めづらい。しかしよく書かれている。
文字として表現する、グロテスクさの最高峰だと思う。
日本以外の他国でここまでグロテスクな小説はあるのだろうか?
ありえないほどのグロテスクさ。新堂冬樹の作家が描く
究極のグロテスクさを越える作家が出てくるのだろうか?
何度も書くがこれをよくぞ出版出来たものだ。
この本を読む人はこの短編集を死ぬまで忘れないだろうと思う。
勿論、私はこの短編集を死ぬまで忘れることはないだろう。