読書 樋田直人著『蔵書票の芸術』 241冊目

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海外の蔵書票は銅版、木版などの単色刷りが多い。
日本では板目木版をはじめ合羽版、
孔版など様々な技法がみられる。
著名な蔵書票といま活躍中の作家の作品を
収録した蔵書票図鑑。
(本書紹介文より抜粋)

今回は、樋田直人著『蔵書票の芸術』を紹介する。
1997年淡交社より刊行。
よくまとめられているし、写真も多い。
入門書としては格好の本かも知れない。
著者はなかなか良いことを書いている。
例えば・・・
日本の蔵書票には欧米で見られる、
座右の銘(的な格言)を入れた票が少ないという事を述べ、
また欧米でさえ、「自国語ではないラテン語
世界共通語EX LIBRISを入れているのに、
日本人だけが日本昔流に○○蔵書と入っていればラテン語
EX LIBRISを入れなくてもよいというのは短絡的過ぎる考えで、
今日ではもはや世界的に通用しない(抜粋)」
この様に述べている。
日本独自の流儀も有っても良いかも知れないが、
やはり、ここは世界に合わせるべきだろう。
どうせなら、そうした方が良いと私は思う。
本書は著者が日本に跋扈する、蔵書票らしき代物に辟易し、
蔵書票とは何ぞやと、もう一度原点にかえり、記した本である。

本書の紹介文に有るように、著名な蔵書票と、
今、活躍中の作家が紹介されているが、
当然ながら、本書だけで、蔵書票の全貌は把握出来ない。
それほど蔵書票とは多種多様な世界なのである。
まだまだ人の目に触れた事が無い蔵書票が世界のどこかに眠っている。