読書 ジム・トンプスン著 「残酷な夜」

2000年5月扶桑社刊行

田舎町ピアデールに現われた青年カール・ビゲロウ。
背が低く、肺を病んでいる彼は、大学の聴講生に
なるために、ウィンロイ家に寄宿する。
その家の主ジェイクは、被告として裁判を控える身だが、
暗黒街から送りこまれてくる殺し屋の影におびえる毎日だ。
なにかを胸に秘めたカール・ビゲロウは、
ジェイクの美しい妻フェイと、次第に接近していく。
同じ下宿に住むのは、いちいち世話を焼いてくれる
老人ケンダルと、脚の悪い貧しい娘ルース。見えない
脅威に次第に追いつめられながらも、
カール・ビゲロウは牙をとぐ。だが状況は、
彼の想像を超えて展開しはじめた…
究極のノワール作家ジム・トンプスンが放つ、
恐るべき暗黒小説!巻頭に、
スティーヴン・キングによるトンプスン論を特別収録。
(本書紹介文より抜粋)

翻訳がまず駄目で受け付けない。
英語を無理に日本語化したような違和感がある。
また終盤になってくると意味不明な描写があり、
意味が判らなかった。
私はノワールを読んでいるはずだが、
この描写はSFとかに感じる。
何が起こったのかを回りくどく書くのではなく
はっきりと書いて欲しいがなんでかノワール
プロ読者には本書は異常に評価が高く、
まるで裸の王様みたいに感じてしまう。
私の感性には本書はあわないし
違和感しか感じなかった。

ジム・トンプスンは絶版ばかりの作家だが、
下記の記事を読むとそういう出版社の事情があったのか。
出版もビジネスであるし、金儲けの手段なので
そうなるのも無理はない。
正直、ジム・トンプスンはUSAでも日本もベストセラーになる
ような作家ではないのでそれはしょうがない。
それ以前にこの作家の世間でも知名度は0に等しい。
ノワール読者と世間一般の好みはかなりかけ離れている。

初心者のためのジム・トンプスン入門(執筆者・扶桑社T)
https://honyakumystery.hatenadiary.org/entry/20121120/1353371646

「『取るに足りない殺人』『深夜のベルボーイ』
『アフター・ダーク』『死ぬほどいい女』は出版社にも在庫はなく、
入手しにくい状態になっています。
 なぜ扶桑社はすぐ品切れにするのだ、文庫化しないのだ、と
お叱りを受けるところですが、最初にすこし触れたように、
じつはトンプスンはじゅうぶんな読者を獲得するにいたっていません。
「このミス」のおかげで突出して売れた『ポップ1280』でも製作部数は
3万部ちょっとで、他の年度の1位にくらべると落ちると思います。
販売努力がたりないからだ、とお怒りのむきもあるでしょうが、
そもそも部数が見こめない作品に宣伝費をかけるのがむずかしいことは、
ご理解いただけると思います」