読書「暗くて静かでロックな娘(チャンネー)」

ザギンでチャンネーとシースー

平山夢明
2015年12月25日第1刷
集英社文庫

目と耳が不自由な美女と、何の取り柄もない男の
純愛を描く表題作。ただの筋肉バカとなってしまった
元アメフト選手の兄を持てあます弟の苦悩
(「兄弟船」)。過去に人身事故を起こして人生を
狂わせた男がたどる不幸の連鎖(「悪口漫才」)。
罵倒しあう老夫婦が経営する名物ラーメン店が
陥る絶望と希望(「反吐が出るよなお前だけれど…」)他、
愚かで卑しくて貧しい、底辺を這う人々の、
救いのない日常を映し出し、人間の闇を見つめる、
著者真骨頂の残酷小説集。
露悪性が悲しいまでに現実的な全10編を収録。
(本書紹介文より抜粋)

平山夢明の本の三冊目読了。
本書を読んで思うのは作家平山夢明
いろんな作風で書けるようだ。
読者を飽きさせない作家だと言える。
印象に残った作品を書けばこうなる。

「日本人じゃねえなら」
「悪口漫才」
「人形の家」
「おばけの子」
「暗くて静かでロックな娘」

「おばけの子」は読むのがかなりきつい。
自分の子を虐待する母親とその母親の(実父ではない)
男の話でいくら架空の小説の話とは言え、
ここまで児童虐待をするものだと戦慄する短編。
本書のネット評価を見てみたら、表紙絵は
ロッキン・ジェリー・ビーンが描いた作品だそうで
この絵描きを今回初めて知った。
表題作の短編そのままのイメージぴったりの表紙絵の作品。
本書のネット評価には「小さな幸せってのは不幸の中でしか
実感することが出来ない」と書かれていて
正に的確な指摘だととても感心した。