読書 平山夢明著「或るろくでなしの死」

21世紀の安部公房
21世紀の実存主義

平山夢明
平成二十三年十二月三十日初版発行
角川書店

良識を示そうとした浮浪者が誰にも相手にされずに
迎える「或るはぐれ者の死」、
他国で白眼視されながら生きる故郷喪失者の
日本人が迎える「或る嫌われ者の死」、
自らの欲望に女の子を奉仕させようとした
くだらない大人が迎える「或るろくでなしの死」、
過去の栄光をよすがにダメな人生をおくる
ぼんくらが迎える「或る英雄の死」…。
本人の意志や希望と関係なく不意に訪れる
7つの“死”を描いた傑作短編集!
(本書紹介文より抜粋)

平山夢明の本の四冊目読了。
今まで作家平山夢明を読んできて思うのは
実存主義臭がしてしょうがないという事だ。
まるで安部公房とかが書いた作品のように。
テンプレ小説でもなく定型文小説でもなく
いろんな文体をこなし、いろんな作風で書いて
読者を飽きさせない、稀に見る作家。
このレベルまでいけばもう大衆小説の域を
超えて純文学のレベルまでいってると思う。
もう純文学作家でも違和感がない。
本書で印象に残った作品を書くと今回は全作になる。
平山夢明という作家は人間の本質を書いている。
文学とは人間の本質を書くものだと私は思っている。

「或るはぐれ者の死」
短編集「他人事」の収録作よりも人の無関心さを感じた作品。

「或る嫌われ者の死」
日本人が2000人しかいない世界の話。
この世界では日本人がとても嫌われている。
私が子供の頃よりは今の日本は混血化しているので
いずれは純日本人もいなくなるのだろうなとは思う。

「或るごくつぶしの死」
ラストは心、精神が死んだという意味なんだろうか。
小海が赤ん坊なんて育てられる訳がないもの。
赤ん坊があのようになるのは
充分予想出来る訳だが予定調和過ぎる。
しかし予定調和だからこそ怖いというのがある。

「或る愛情の死」
本作はかなり捻ってあり、ラストには驚いた。

「或るろくでなしの死」
まさかここで映画「ハンニバル」みたいに脳を露出させての
処刑がくるとは思っても見なかった。

「或る英雄の死」
安部公房の短編「なわ」で子犬のナニを上下運動させる少年
たちの記述がある。それと同じように本書には猫のナニをいじり
自分のナニもいじる人物が出てくる。それだけではなく
猫の口に自分のナニを入れる、予想したように猫はナニに噛み付く。
ラストには驚いた。(平山夢明の小説に驚くこともない人も
この世の中にもいるだろうが、私はまだ平山夢明を読み始めた
ばかりの初心者なので)
筒井康隆「死にかた」の鬼のように、巨漢の兄弟が唐突に現れ、
登場人物のばふんの目に指を突っ込む。平山夢明の小説って
普通の作家なら書くのを躊躇するような描写が多いし、
目をつぶされる描写が多いと思う。また急展開が非常に多い。

そういえば1980年代のインディーズバンド「アマリリス」の
歌の歌詞に「猫の金玉いじります」というのがあったような。

マリリス再発!アリスセイラーさん携帯インタヴュー(4ページ目)
https://allabout.co.jp/gm/gc/373078/4/

京都タワーを見て育ったんです」。
伝説の歌姫アリスセイラーが愛した
「京都」駅【関西 私の好きな街】
https://suumo.jp/town/entry/kansai-kyoto/

Amaryllis-母 (Single Version)
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/QrgxSfOlO18?si=UxK4lTi6QNwusR2l

マリリス - アマリリス名曲大全 (FULL ALBUM)
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/aSPxtcrrD1k?si=AB2nHaoioGXcgMSs

「或るからっぽの死」
これは悲しい恋の話だと思う。
何故シニコを好きになっては駄目で殺したいほど憎いと思わなくては
ならないのか、最初は判らなかったが段々判ってきた。
荒木飛呂彦の「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズみたいに
先の展開が読めない場合が非常に多く意表を突かれる。