読書「ファッションプレートの洋書Ⅱ」

Vyvyan Holland著
Hand Colored Fashion Plates 1770-1899
1988年B.T. Batsford Limited刊行
ハードカバー
192P

Vyvyan Holland著の本書は参考文献として服飾史や
ファッションプレートを論じる際には出てくる場合が多い。
この書の初刊行は1955年で本書は1988年版。
(1955年版と1988年版の2種しかない)
1955年版は未見だが内容は同じと推測される。
Vyvyan Hollandはあのオスカーワイルドの次男。
彼はオスカーワイルドに関する著作も書いている。

刊行元のB.T. Batsford Limitedは英国のインディーズ系出版社。
ここは1843年創業でファッション、デザイン、刺繍、織物、チェスや
建築や歴史などの本に特化した出版社。

B.T. Batsford Limited
https://www.batsfordbooks.com/

本書を買った理由は参考文献として有名であり、大体の概要は知っていたが、
実際に手にとってどんな本なのかを知りたかったからだ。
実際に本書を買い、手にとって見てみると予想通りで既知のことが多い。
ファッションプレートの各時代の特色、説明、原画を描いた画家のリストや解説、
それにコレクションの形成などが書かれている。
ファッションプレートは数は多くはないが、載っていて白黒のがメインで
カラーはほとんどない。印刷製本はGreat Britain。
やはり個人的にこの種の本としては前に本ブログに書いた本のが最良だと思う。
つまりMilleret Guenol著「La mode du xixe siecle en images」
(現時点ではこれは外すことはできない、これを凌駕する本が刊行されない限り)
やはりこういうのは写真や画像や動画ではなく実物を見ることだ。
写真や画像、動画と実物では別物であり、実物はやはり違う。

ファッションプレート(特にフランスのもの)はまるで日本の少女漫画みたいな
愛らしい女性を描いている。
ファッションプレートは理想を描き、綺麗な女性像が描かれており、
それは現代のファッションモデルの存在意義と同様である。
現代のファッション雑誌においてもそれは同じで綺麗な女性、可愛い女性、
理想的な女性がそこには存在している。それにより消費者は購買意欲をそそられる。
ファッションとはイメージであり、印象は重要視される。

英国の服飾史研究家のDr. Serena Dyerの動画をここに掲載しておきます。
この動画にも引用・参考文献リストとして本書が挙げられています。

Dr. Serena Dyer
https://www.serenadyer.co.uk/

500 Years of Fashion Magazines
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/e4lSJzZr7ds?si=FPUheFiKWak7dxfj

最後にアメリカの歴史的衣装製作者の動画も挙げておきます。
彼女はファッションプレートコレクターでもあります。
このようにファッションプレートを飾るという彼女の行動は私には懐かしい。
私は1985年に人生で初めてファッションプレートに出会い、それを買い、
彼女のように部屋に飾ったものだ。今でも飾ってある。
しかし今は1985年とは状況も知識量も変わりネットがインフラ化し、
今では当時合本化された、19世紀のフランスのファッション雑誌が架蔵されている。

All My Fashion Plates! -- A Fashion Plate Home Tour
(記事投稿時には視聴可能)
https://youtu.be/_yipzCqyTDg?si=O5S1CpZPIvD4ACGc