読書 豊田正義著「妻と飛んだ特攻兵」

妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻
豊田正義著
440ページ
平成27年7月25日3版発行
角川文庫

内容説明
「女が乗っているぞ!」その声が上空を旋回する
11機の特攻機まで届くことはなかった。
白いワンピース姿の女性を乗せた機体を操縦していたのは
谷藤徹夫少尉(当時22歳)、女性は妻の朝子(当時24歳)だった。
1945年8月19日、満州。20代の青年将校たちの、
ある者は許嫁の自決を見届け、ある者は恋人を連れ、
そして谷藤徹夫は妻を乗せ、空に消えていった。
「妻と飛んだ特攻兵」、その衝撃の事実を迫った歴史ドキュメント!!

目次
第1章 開戦―東條内閣、倒閣へ動く
第2章 結婚―航空将校となり、満州へ赴く
第3章 満州関東軍、謀略をめぐらす
第4章 帝国―皇帝・溥儀・傀儡となる
第5章 夫婦―飛行教官として教え子を見送る
第6章 特攻―谷藤徹夫、朝子と征く

(本書紹介文より抜粋)

本書はその書名のまま終戦後の1945年8月19日、最後の特攻として
特攻機に妻と2人で敵へ特攻した夫婦の取材記録。
評価を見ると評価はいいとは言えない。
中身のほとんどが戦争の説明であり、肝心の夫婦での特攻に
関してはほとんど書かれていない。
肝心の谷藤夫婦は死んでいるため、推測に次ぐ推測で終わっている。
取材に関しても難航を極め、みんなが口が堅く思い通りには進まない。
ここまでしか書くことができなかったのだろう。
こんなことが実際に過去にあったのだというのを書籍にして提示し、
この事実を少しでも認知されるだけで満足しなければと思わざるを得ないと
考えてしまう。それほどあの戦争は21世紀の今から遠ざかっている。
ドラマ化されたようだが未見。

この特攻は降伏命令に反し女性を同乗させ軍紀違反と思われようが
夫婦はお互いに愛し合っていたからこそ一人では生きたくもなく
生きられないと感じ、どうせ死ぬなら2人一緒に死にましょうと決意した末の
行動なのだろう。