読書 大石圭著 「名前のない殺人鬼」他

名前のない殺人鬼(角川ホラー文庫)2022年12月刊行

いくらでも殺せる。彼女が望むなら。
僕は周りの人たちにシュンと呼ばれている。
でも、この国の戸籍にそんな名前の人物はいない。
だから人を殺しても構わない。
僕は名前のない殺人鬼なのだ――。
弁護士の李子からの依頼に従い、嗜虐的な趣味をもつ男に
女装して近づき次々と殺害していく、
戸籍を持たない少年・シュン。
ある日、彼らの平穏な日々を揺るがす驚愕の相談者が
現われる!若く美しい連続殺人鬼の自らの人生との対峙を
端正な筆致で描き上げる、著者渾身の長編小説。
(名前のない殺人鬼紹介文より抜粋)

破滅へと続く道 右か、左か (徳間文庫)2023年3月刊行

著者渾身のエロス&サスペンス
その選択が間違っていないという確信、
あなたにありますか――?
人は一日に何度も分かれ道に立つ。
そして、ほとんど意識しないまま、どちらの道を行くべきなのか
を瞬時に決める。たとえば、今朝はどのスーツを着て会社に行くのか。
多くの場合、どちらを選んだとしても人生が大きく変わることは、ない。
けれど、時には、その無意識の選択が人生を決定的に変えてしまうことが、
あるかも。あなたにはその選択が間違っていないという確信、
ありますか――?

目 次
まえがき
第一話 春の分岐点『雪の中の仔猫』
第二話 夏の分岐点『破滅へと続く道』
第三話 秋の分岐点『暗い山道で』
第四話 冬の分岐点『命を拾った女』
第五話 再び春の分岐点『狭き門より入れ』
あとがき
(破滅へと続く道 右か、左か紹介文より抜粋)

大石圭の小説の「人を殺す、という仕事」を読んで、
今度は「名前のない殺人鬼」「破滅へと続く道 右か、左か」
を読んでみた。上記の2作品ともエロチックな描写が多く、
「名前のない殺人鬼」のが長編なのでよりそういう描写が多い。
大石圭はホラー作家というよりも近年では官能小説家という
認識を持つ読者のが多いのではないだろうか。
大石圭の小説を読むとこの作者の性癖、あるいは好みの女、
理想の女というのが描写によって鮮明に理解出来る。
大石圭の小説レビューのは性描写が多く、こんなのを求めてない
という意見が多く、読者と作者との乖離が見られる。
読者の大半は彼の作品に官能小説のような描写を求めてないし
それは私も同様であり、もしそのその様な記述を求めるなら
何も大石圭以外にもこの世の中には膨大な作家の膨大な作品があるからだ。
上記2作品共に今までの作品とは若干作風が違うように感じる。
2作品共に印象が残らない、今までの作品群の焼き直し的な感覚を覚える。