読書 大石圭著 「邪な囁き」「殺人調香師」

邪な囁き(角川ホラー文庫) 2007年刊行
殺人調香師 (角川ホラー文庫) 2011年刊行

こんなことをしたら、もっと大勢の人を
嘆き悲しませることができるぞ―。
『あいつ』は毎日のように囁き続け、
そして僕は『あいつ』の考えついたことを実行に移す。
『あいつ』は、僕の心の中に棲みついた忌まわしい生き物。
他人に降りかかった不幸を自らの喜びとし、
それを生きる糧としている、邪で、悪意に満ちた、
醜くておぞましいやつ―。書き下ろし最新作。
(邪な囁き紹介文より抜粋)

柏木はハンサムな若き調香師。彼の調合する香水を求め、
店には多くの婦人たちが訪れる。
だが柏木には大きな秘密があった。
彼は調香師にして──連続殺人鬼。
命を失ってから数時間にわたって皮膚から立ちのぼる
『その薫り』に包まれながら、殺した女を犯すことが、
彼の至上の喜びなのだ──。だが今までで最高に惹かれる
『その薫り』の美少女・レイナと出会った時、
禁断の悲劇が幕を開けた……! 
倒錯的エロティック・ホラー。
(殺人調香師紹介文より抜粋)

大石圭の小説の「地下牢の女王」を読んで、今度は
この「邪な囁き」「殺人調香師」を読んでみた。
「邪な囁き」は異常なほどの悪意の塊で害悪な存在
でしかなく一見無害そうで理想的なイケメンが
数々の悪行を繰り返していく話だ。
「殺人調香師」はパトリック ジュースキント著
「ある人殺しの物語 香水」を彷彿させる話。
読者の中には結末を予想できた人も多かったのでは
ないだろうか。この物語の主人公も女ウケが良いイケメン。
ニ作品ともご都合主義過ぎるという設定だが、
そこはあくまでも架空の小説ならではだと思う。
大石圭の書く作品群はご都合主義ではないと話が進まない。