古書 乱歩の原点 黒岩涙香著(翻案)『白髪鬼』(1894)58冊目

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今回、紹介するのは、明治の大新聞人・ジャーナリスト・
翻訳家である、黒岩涙香著『白髪鬼』である。
元はメリー・コレル女史「ヴェンデッタ」(Vendetta 復讐)であり、
それを日本の読者向けに涙香が翻案したものである。
この頃の涙香本には木版口絵が一葉が付いている。
挿絵場面は物語の終盤に当たり、描いている絵師は安達吟光。
江戸川乱歩も涙香の『白髪鬼』を元に同名の小説を書いており、
少年時代の乱歩は涙香の熱烈な愛読者であった。

『白髪鬼』は、人の情というものは、
いつの時代も不変だなと思わせる物語である。
誠に映画向き、長編ドラマ向きの話だと思うのだが、
この様な話がいっこうに映像化されないのは残念である。

 *初版は1894(明治27)年に刊行されたが、
  私が所蔵しているのは、
  扶桑堂から明治40年刊行(五版)のもの。

**黒岩涙香を知ったのは、私が中学の頃であり、
また、何故、黒岩涙香を知ったのかは
小学生の時に江戸川乱歩を読み始めて
からであった。
乱歩の小説の元ネタは涙香と知った為である。
江戸川乱歩からは黒岩涙香の他に、
月岡芳年を知ることにもなった。
乱歩が芳年の無残絵を収集していたことを
知った為である。
月岡芳年という、異彩を放つ、天才絵師を知ったのも、
(涙香を知った同時期の)中学の時であった。
中学生であった私は、それから、黒岩涙香
月岡芳年を追求していくことになる。