青春の淡い思い出の映画19  『サード』(ATG 1978)

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昔、TVで見た、邦画で印象に今でも残る映画がある。
その映画はATG製作の『サード』である。
劇場で見たのではなく、TVで見た。
その昔、東京12chでは、土曜の10時から(だったと思うが)
日本映画番組を放映していた。
(昔から12chは独自路線である)
その番組で、映画『サード』に出会ったのであった。
1980年代初頭、私が高校の時だったと思う。

映画『サード』は高校生が主役であり、
同年代であった私にとり、身近で有ったし、
また性を扱う話でも有るので、興味津々で有った。
図書室での性交、それに女子高生による売春など、
当時は衝撃的な内容であった。

この映画に出演している、
森下愛子は、今では忘れられてしまったが、
この当時は、まだ新進の女優であった。
私も年を取り、サザエさんの年齢を超え、
マスオさんの年齢を超え、バカボンのパパの年齢に
近づきつつあるが、私にも若い時が有ったのである。
サードに出演した森下愛子は20歳位だったはずで、
高校生からみる、3~5歳年上の20歳は
とても大人に見えたものである。
もうすっかり大人で、大人の女性と思ったものである。

幼稚園の時は、小学生のおねえさんが大人にみえ・・・。
小学生の頃は、中学生のおねえさんが大人にみえ・・・。
中学生の頃は、高校生のおねえさんが大人にみえ・・・。
(2005年8月18日記事投稿)

2010年3月13日追記。
近日、本映画で検索してきたという奇特な人がおり、
またyoutubeに本映画の予告があったので、ここに追記する。

【予告篇】サード
http://www.youtube.com/watch?v=2YLBw3ngHME
(この記事が書かれた時点でなら視聴可能)

本映画の、この圧倒的な暗さというのは、現実というか、リアルさだろう。
映画自体は架空かも知れないが、類似の事件は現に起きている。
この当時、円光という言葉は無かったが、言葉自体は無くとも
その行為というのは有った訳だし、その行為は人類が誕生してから
一日として欠かすこと無く、いつでもどこでも存在し続ける。
出てくる中年のオヤジは、典型的な円光オヤジとして、描かれ、
何もかも嫌らしい。初めて見たのが、子供の頃だったから判らなかったし、
興味も無かったが、ヤクザは峰岸徹が演じている。彼は適役だ。
彼は岡田有希子の事例を持っても判るように、
小娘を転がす中年のオヤジ役としては正に適役である。
彼は中年オヤジ(或いはヤクザ)特有の狡猾さ、嫌らしさ、
嫌悪感を催すようなクズさを見事に表現している。
森下愛子にしても永島敏行にしても峰岸徹にしても正に適役。
この役者しか演じられない。
ATGの持つ、この独特の暗さは何だろう。
また寺山修司の泥臭さ(田舎臭さ、東北臭さ)はこの映画にとても合っている。
寺山の対極が澁澤だと思うが、私はどっちも好きではない。
彼らは奇を衒いすぎだ。その狙いすぎの計算づくの嫌らしさは好きじゃない。
最近は本映画にしても他の古い邦画にしても放映されることは
全く無くなった。本当に残念である。
近年の下らん、唾棄すべき、軽薄なだけの邦画なんぞを放映するより
本映画を放映して欲しいものである。