『NHKスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』

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アマゾンの最深部に1万年以上、独自の文化・風習を
守り続けている部族がいる。
欧米人に“最後の石器人”と呼ばれているヤノマミ族だ。
現在、ヤノマミ族は2万人。40~200人で一つの集団を作り、
ブラジルとベネズエラにまたがる広大なジャングルに
分散して暮らしている。
私たちはその一つ、ワトリキ(風の地)と呼ばれる集落に
150日間同居し、彼らの言葉を覚え、彼らと同じモノを
食べながら撮影を続けた。森の中、女だけの出産、
胎児の胎盤を森に吊るす儀礼、2ヶ月以上続く祝祭、
森の精霊が憑依し集団トランス状態で行われるシャーマニズム
集団でのサル狩り、深夜突然始まる男女の踊り、大らかな性、
白蟻に食させることで天上に送る埋葬…。
そこには、私たちの内なる記憶が呼び覚まされるような世界があった。
笑みを絶やさず、全てが共有で、好きなときに眠り、
腹が減ったら狩りに行く。そんな原初の暮らしの中で、
人間を深く見つめてゆく。
※ブラジル政府、および部族の長老7名との10年近い交渉の末、
TV局としては初めて長期の同居が許されたものです。
(紹介文より抜粋)

2009年9月3日(木)午前0時10分~1時9分にNHK総合
NHKスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる』が
放映された。NHKが制作したドキュメントである。
今回の放送は再放送である。
今まで見逃しており、見たいと思っていたので、期待して見た。
日本のTV局ではNHK以外ではとてもとても制作不可能だし、
また制作する気なんか毛頭もないという、ドキュメントである。
いやNHk以外にTV東京なら、このようなドキュメントを
制作出来る可能性は有る。
最近、日本人の源流シリーズ
「ヒマラヤ最東端 秘境に生きる女たち ~遥かなるムーリ高地~」
というドキュメントを土曜日にTV東京で見たことがある。
なかなか良く出来たドキュメントであった。
今までに何度かこのシリーズをTV東京は放映している。
無駄なスタジオだのワイプがなく、ただ淡々と地味なナレーションと
共に我々日本人がまだ見たことがない民族や生活を写し続ける
というものであった。村の娘が何キロも歩いて、大都会?と言われる
中国の町に鳥とジャガイモを売りに出かけ、現金収入を得、鮮やかな布とか
お菓子を買って帰る話が大変良かった。

さて、話は戻るが、
この「ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる」のナレーションが
どうも異常なほど暗くて、何でこの人をナレーターにしたのか理解できない。
何か大人の事情でもあるんでしょうか。
あのナレーターの破壊力はすざましく、どんな題材であれ、
例え、ディズニー映画でさえサザエさんであっても
陰惨たるものにしてしまうに違いない。ナレーターは問題ではないかと感じた。
今回NHKが制作したこのドキュメントは大傑作だと思う。
近年この様なドキュメントが制作されなくなり、それに飢えていたせいも
あるかと思うのだが、大変よく出来たドキュメントである。

冒頭で、シャーマンらしい男が出てくる。
「敵か・・・ナプなら殺すか・・・」
そんな事を言うシーンがある。
ヤノマミとは人間の意であり、ナプは人以外のもの、
或いは人以下のものをさしている。
よそ者は殺した方が安全であり、よそ者は近づけない方が
良いというのが、人間や動物の基本的な本能であり、生態である。
取材班は観光化されたジャングルの原住民の様には
決して歓迎はされていない様にも感じた。
しかし合計150日間も滞在出来たのだから、危害を加えられない程度、
殺されない程度、撮影が許される程度には信用されたのだろう。

子供には、4、5歳になるまで名前がないという。
女の子はナ・バタ(ナは女性器、バタは偉大という意)
男の子はモシ(モシは男性器)と呼ばれる。
子供達がナ・バタを見せてやるから来いと言われ、
取材班がついていくと、そこには大木があって、
Yの字(に割れ目)が彫ってあった。子供達がそれを見て笑っている。
別に性教育などいちいちしなくても、そういう行為は頻繁に目にしているはずだ。
番組の終盤の方には夫が16歳、妻が11歳の夫婦が出てきた。
獲物を捕れるようになると一人前で妻を娶ることが可能になるのだろう。
このドキュメントには、この村では既に”一人前の女”に扱われると思うが、
14歳の少女を軸にして進行して行く。その少女が、小猿を飼う?為に
小猿に慣れさせる為に、その少女が自分の唾を小猿に飲ませるシーンがあった。
また村の家には猿の燻製、ミイラが吊るしてあり、
どうやら保存食?になっているようだった。
その猿の燻製には首が無かった。猿の首は村の少女?が齧りついていた。
猿の頭蓋骨にこびりついている肉片をオヤツ?みたいな感じでかぶりついていた。
本当に滅多に近年では見ることが出来なくなった、
アマゾンの裸族の大傑作ドキュメントである。
我々文明社会では決して見ることが不可能な映像であった。
また我々文明に生きる者にとっては衝撃的な映像の連続であった。
また今回もNHKで誠に有意義な時間を過ごすことが出来た。

ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きるの予告
http://www.nhk.or.jp/special/movie/player090412_01.html


森で生まれ、森を食べ、森に食べられる・・・。