今回は本では無く、雑誌を紹介する。
その雑誌は、今まで伝説の雑誌と言われ、
近年復刻もされた、「血と薔薇」~LE SANG ET LA ROSE~である。
昭和四十三年に天声出版から、エロティシズムと残酷の総合研究誌と銘打ち、
「血と薔薇」(四号で廃刊)という雑誌が出版された。
三号まではフランス文学研究者、故澁澤龍彦が責任編集。
執筆陣は今となっては豪華なメンバーばかりである。
三島由紀夫、稲垣足穂、植谷雄高、中田耕治、生田耕作、種村季弘、
澁澤龍彦、植草甚一 等々。
巻頭には、特集Ⅰ「男の死」と題され、三島由紀夫がモデルとなり、
「聖セバスチャンの殉教」と名付けられた、写真が記載されている。
他にモデルとなった人物は澁澤龍彦、唐十郎 等・・・。
まだ文学者が文学者たる意識を持ち、
まだ矜持を保持し、まだ時代が文学を認めていた頃の雑誌だと言える。
そして、まだ文学が生きていた・・・そんな時代の雑誌でもある。
*或いは・・・まだ文学がインテリの小道具となった時代、
そして文学を語るのが別段珍しい事でも無かった時代、
それに文学全集が出版され、書棚を飾っていた時代である。