読書 気谷誠著『愛書家のベル・エポック』178冊目

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今回は、気谷誠著『愛書家のベル・エポック
~アンリ・ベラルディとその時代~を紹介する。
図書出版社より、ビブリオフィル叢書の一冊
として1993年に刊行された。現在は絶版となっている。
価格は4120円となっているが、私は古書店で購入した。
刊行部数は少ないと見え、価格帯としては手頃な金額ではない。
刊行部数が少ないという事は、我が国に、愛書趣味が
定着していないという事を如実に示していると言えよう。
やはり愛書趣味、西洋古書蒐集というのは我が国には
まだまだ知られておらず、好事家による、孤高の趣味だと言えると思う。

本書は、タイトルに有るように、フランスのベル・エポック期における、
アンリ・ベラルディを中心とした、愛書家達の活動と軌跡と
装丁や挿絵について述べている本である。
しかし、内容的には不充分さが目立つ。
(本書で、巻末で著者が述べている様に、やはり研究書というよりは、
愛書家の気ままな随筆として、書かれているせいであろうか)
よく書かれている事は事実だが、本国において、この類の本は
なかなか出版される事も無く、西洋古書蒐集に参考になる文献が
極少なので、もっと踏み込んで貰いたかったと思う。
今後著者は、この様な西洋書誌学、
西洋古書蒐集に類する本を書く事は有るのだろうか。
著者は西洋書誌学、西洋古書蒐集の膨大な知識を持ち、
大変博識な人物であると思う。
今後もそれを充分に生かして、執筆して欲しいと思うし、
また今後の活動にも期待したいと思う。
しかしながら、刊行されるという事は有る程度の需要が
無くては成立しないので、その辺の事情次第であろう。

*本書の巻頭の写真。