日本パルプ・ノワールの傑作 馳星周著 『不夜城』(角川文庫)65冊目

イメージ 1

今回、紹介するのは、金城武の主演で映画化もされた、
馳星周著 『不夜城』である。
馳星周は好きな作家の一人である。
この作品は日本のパルプ・ノワールの傑作だと思う。

この作品には善人などは一人も出てこない、
善人どころか、まともな道徳を持った奴など一人も出てこず、
全員が悪人で、同じ穴の狢である。
登場人物の誰もがエゴイストで有り、自分の利益しか考えない。
殺るか、殺られるか、食うか、食われるかの世界で有り、
決して牧歌的な物語ではないので、読む時には覚悟が必要である。
映画化もされたが、映画では倫理の問題が有り、
描写の制限や時間的制約も有るので、まだまだ表現は甘い作りになっていた。
小説は映画よりも何倍も無情で冷酷であり、血を血で洗う描写が多い。