2006年双葉社刊。
やくざの奴隷に成り果てた、かつてのIT長者。
本家からフロント企業へと放逐されたチンピラ。
身体を壊し、酒が飲めなくなったホステス。
若くして人生の敗者となった三人が手を組み、
起死回生の大博打を打った。
狙いは脛に傷を持つサラ金企業ハピネス。
彼らは、ハピネスからブラックマネーを奪い取り、
負け犬の烙印を消しさることができるのだろうか。
(紹介文より抜粋)
提灯記事ではなく、正直に感想を書く。
数年ぶりに馳星周の作品を読む。
「蒼き山嶺」につぐ2冊目。
これだ、この感じだ。
いつも通りの馳星周節の文章が懐かしい。
馳星周には田舎とか牧歌的ものは似合わない。
新宿や六本木などの東京の喧騒が似合う。
馳星周は3つに分類が出来ると思う。
田舎や犬や動物をからめた牧歌系。
あるいは不夜城系。
そして、生誕祭や復活祭系など。
本作品は生誕祭や復活祭系に分類されると思う。
20世紀末に馳星周を発見したとき、
まるで思春期の十代に大藪春彦や西村寿行を発見
したときのように興奮した。
馳星周は日本を主とした現代社会の闇を描くのが上手い。
馳星周はアウトローを描くのがとても上手い。
それにしても小久保は何十万何百万も自由に使えるのに
歯医者に行かないでいいのかとそればかり気になってしまった。
結局最後に笑うのは女であったようだ。
この小説も映画化向きだなとは思うが、こういうのは
全くと言っていいほど映像化されない。