ベストセラー小説の映画化 『悪童日記』

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ドイツ・ハンガリー制作。111分。
(原題 A NAGY FUZET)

第二次世界大戦末期、疎開先の過酷な
生活の中で大人たちの残虐性を
目の当たりにした双子の兄弟が、
次第に暴力を学びながら、
逞しく生き抜いてゆく姿を描く。
世界中に衝撃を与えたアゴタ・クリストフ
ベストセラー小説の映画化。
主演は本作がデビューとなる双子の兄弟、
アンドラーシュ・ジェーマントと
ラースロー・ジェーマント。
(映画紹介文より抜粋)

相当、昔の事、本映画の原作の
アゴタ・クリストフ著「悪童日記
(他二作、全三部作)を読んだ事があるが、
当時なかなかの良作と感じた事を覚えている。
詳細は忘れてしまっているし、読了した、
3冊の本自体も今は手元にない。
だから(或る意味)新鮮な目で見る事が出来た。
(内容なんておぼろげでしか覚えていないから)
当時、この「悪童日記」が映画化するなんて
思いもよらなかった。
それが映画化されたので、見てみた。
やはり、おぼろげに覚えている、双子同士が
殴り合いをするシーンがあり、
また祖母が暴力的で厳しく、
意地が悪い描写があった。
そう、こんな話だったなと思った。
隣の娘が家に泥棒しに来るので、
懲らしめるシーンがあったが、
原作にあったのかは覚えてない。
双子が隣家の泥棒娘と友達になるとか、
妙齢の綺麗な娘と一緒に風呂に入るとか、
ユダヤ人の強制連行とかの描写も
原作にあったのか、覚えてない。
原作のおぼろげなイメージと違っていて、
本映画はなんか陰鬱に思えた。
(父までを犠牲してまで生き延びようとするのか)
後味が悪すぎる。双子の少年達から見た戦争である。
しかしアニメの「火垂るの墓」と違い、
逆に過酷な状況下で「生き延びる」という事を
先決に考え、何とか生にしがみつこうとする
確固たる姿勢がそこにはある。
双子の少年達は様々な訓練をし、鍛錬し、
有りとあらゆる手段を巧妙に使い、
徹底的に生き延びようという姿勢が異なっている。
それは或る意味双子の少年達のもう一つの
意味での戦争、戦いでもある。
この双子の何でもしても、どんな事をやっても
生きてやるという姿勢は以前本ブログでも
紹介した、*吉岡源治著「焼跡少年期」
(中公文庫)にも通じるものがある。
やはり、隣の娘はソ連兵にやられたか。
ソ連兵の略奪、陵辱、虐殺等は有名な話で、
満州では相当な被害に残留日本人は受けている。
(当然残留日本人は満人にも被害を受けている)
若い頃から(中学か高校時だかに)光人社
よもやまシリーズを始め、入手可能なだけの
あらゆる戦記物を全て読破し、知った事である。
(当時、ソ連短機関銃「PPSh-41」を
バラライカと恐れていたという記述があった様に
おぼろげながらも記憶している)
**米軍はソ連に比較して、シベリア抑留もせず、
まだ紳士的とも言えなくもない。
(日本人や日系人の強制収容が有った事は事実)

A nagy fuzet (elozetes)
(記事投稿時なら視聴可能)
https://youtu.be/pd78HiiC3Es

*上記の吉岡源治著「焼跡少年期」の他にも
日新報道出版社部 山岡明著「占領下の犯罪事情」
~生きることが犯罪だった~昭和52年7月20日発行
(890円)という本もある。著者の山岡明は1920年生、
海軍下級衛生兵を経て、敗戦を迎える。
この頃は実際に敗戦をリアルで経験した人々がまだ存命
であったので、色んな経験(見聞)を書き残す事が
可能な時代であった。

**米軍はフランス上陸(ノルマンディー上陸作戦)
であっても脅威であった。(以下、参考記事)
「解放者」米兵、ノルマンディー住民にとっては
「女性に飢えた荒くれ者」
http://www.afpbb.com/articles/-/2946474?pid=10810152
(記事投稿時なら閲覧可能)

2013年05月27日 14:38 発信地:ワシントンD.C./米国
「解放者」米兵、ノルマンディー住民にとっては
「女性に飢えた荒くれ者」
第2次世界大戦(World War II)中のノルマンディー上陸作戦で、
仏西部ノルマンディー(Normandy)に上陸する米兵たち
(1944年6月6日撮影、資料写真)。
【5月27日 AFP】(一部更新)第2次世界大戦(World War II)中の
仏ノルマンディー(Normandy)上陸作戦に参加した米軍兵士たちは、
フランスをナチスドイツ(Nazi)から解放した勇敢な英雄として
描かれてきた。そうした「若いハンサムな米兵さん」のイメージに
隠された負の側面を明らかにした研究書が来月、米国で出版される。
6月に刊行予定の「What Soldiers Do: Sex and the American GI
in World War II France(兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中
のフランスにおける性と米兵」は、米ウィスコンシン大学
(University of Wisconsin)のメアリー・ルイーズ・ロバーツ
(Mary Louise Roberts)教授(歴史学)が、米仏で膨大な量の
第2次大戦中の資料を研究してまとめた著作だ。
研究の趣旨についてロバーツ教授は、「GI(進駐軍兵士)は
たくましい男で、常に正義に基づいて行動するとの典型的な
『GI神話』の偽りを暴き出すことだった」
と、AFPに語った。教授によると、米軍では当時
「フランス人に対して優位に立つ」手段として性欲、買春、
レイプが取り入れられていたという。
米兵たちは、ノルマンディーの人々から「性のアバンチュール」
を求めてやってきた、セックスに飢えた荒くれ者と見られていた。
これは地元ノルマンディーではよく知られていることだが、
一般的な米国人にとっては「大きな驚きだ」と
ロバーツ教授は述べている。

■「女性を隠せ」-街中いたるところで性行為
米メディアがノルマンディーに上陸した米兵について、
キスをする米兵と若いフランス女性の写真を掲載するなど
ロマンチックな視点で解放者として描いていた間、
地元の人々は「問題」に直面していた。
地元には、「ドイツ人を見て隠れるのは男たちだったが、
米兵の場合は女たちを隠さねばならなかった」という話が
伝わっているという。
米兵たちの放蕩ぶり、不法行為、さらには組織的な
人種差別などもあった。
「GIはどこでも所かまわずセックスしていた」とロバーツ教授。
特に、ルアーブル(Le Havre)やシェルブール(Cherbourg)
では米兵たちのマナーの悪さが目立ったという。
米兵たちは、女性を見れば既婚女性でさえ公然とセックスに誘い、
公園、爆撃を受けて廃墟と化した建物、墓地、線路の上など、
街中いたるところが性行為の場となった。
しかし、全てが両者の合意のもとで行われたわけではなく、
米兵によるレイプの報告も数百件残されている。
ロバーツ教授が調べた資料によれば「セックスをしている男女を
見かけずに街を歩くことは不可能」なほどで、
当時のルアーブル市長が米駐留部隊の司令官に改善を求めたと
記されていた。米軍の上官らは兵士たちの行為について
公式な非難声明は出したが、改善の努力はしなかったという。

■フランスは「売春宿」口説き文句も紹介-米誌プロパガンダ
ロバーツ教授は、当時の米兵が勇気ある青年たちであり、
その勇敢で英雄的な行為がフランスから感謝されている事実に
ついても忘れずに触れている。
一方で、米軍が未知の国で戦う若者たちを鼓舞する即効策として、
意図的に米兵たちの性欲に訴えかけるプロパガンダを行ったと
みられる点も指摘している。
例えば、写真ジャーナリズムの草分けである米誌
「ライフ(Life)」は、フランスを「快楽主義者4000万人が
住む巨大な売春宿」と表現した。
また、米軍機関紙「星条旗新聞(Stars and Stripes)」は、
フランス女性を口説くためのフランス語フレーズを連載。
「きみ、とても可愛いね」「たばこをあげようか」
「ご両親は今、家にいるの?」といった会話の糸口を紹介していた。
ロバーツ教授は「米兵の性欲は、いったん火が付くと手が
付けられなかった」と記している。
さらにロバーツ教授の著書は、当時レイプ事件で訴えられた
米兵は、黒人兵士が圧倒的に多かった事実にも踏み込んでいる。
1944年10月の資料によれば、米兵が絡んだ強姦事件152件のうち
130件で黒人兵が訴えられている。
これについてロバーツ教授は、米軍内の根深い差別を示していると
指摘した。フランス人も、すぐに黒人米兵を指さして非難する
ようになったという。

■人類の経験として捉え直す
ノルマンディー上陸作戦から約70年たった今、
同書を出版する理由についてロバーツ教授は、歴史を書き換えたい
わけではなく「フランス側から見た実態」を明らかにすることに
よって、ただの「空虚な英雄譚(たん)」にとどまらない
「人類の経験の1つ」としてノルマンディー上陸作戦を捉え直すのが
目的だと説明している。(c)AFP/Fabienne Faur