おすすめの本 5月23日 江戸川乱歩 著 「孤島の鬼」 18冊目

イメージ 1

私が乱歩の「孤島の鬼」を初めて読んだのは、
確か中学生の頃だったと思う。
たちまち引き込まれていった本だ。
それから私は度々この本を読んだものである。
話の舞台は昭和初期で、青年の冒険譚なのだが、
ストーリー展開がスリル満点である。
発端は青年の恋人が何者かに殺され、
犯人探しが始まり・・・それから暗号解読・・・
最後には宝探しになる。

話は単調では無く、全く飽きない。
これは凄いなと感じたのは、「秀ちゃん」という美少女が
書いた日記の存在である。
この章のタイトルは「人外境便り」となっているが、
正にその通りだ。
そして、この小説の最後の一文が泣かせるのである。

私は乱歩の作品の中で一番を選ぶとすれば、
この「孤島の鬼」を挙げたい。
この作品は乱歩の最高傑作である。
乱歩を超える(探偵小説)作家もいないし、
また類似する作家もいないと私は思う。
正に天才だと思う。
この独創的で猟奇的な世界は乱歩だけしか描けない。
他の作家が真似すれば、たちまち陳腐になる。
今まで乱歩作品は数々映像化されているが、
この「孤島の鬼」は完全には映像化はされていない。
是非映像化して欲しい小説の一つである。

今回、書影を挙げたのは1969年講談社刊行の
江戸川乱歩全集である。