今回はジュリアン・フレティ著『フランス装丁家辞典』を紹介する。
本書はフランスの1800年代~近年(刊行時)までのフランスの
装丁家を調べるのは格好の書であり、必須の辞典と言える。
既に過去に日本語訳もされた、アラステール・ダンカン著
「装幀の美―アール・ヌーヴォーとアール・デコ」の存在も
確かに、無視は出来ないが、フランスの(膨大とも言える)
装丁家を網羅しているとは言えず、とても物足りない。
しかしながら、上記の書は辞典に非ず、辞典でない書としては
フランスの装丁史に残る、一流の装丁家を紹介している点では
大変評価出来る訳ではあるが、所詮は一抹の装丁家を
紹介しているだけに過ぎない。
上記の「装幀の美」に記載されていない(重要かつ有名な一流の)
装丁家も多数、フランスの装丁史上には存在している事は確かである。
それらのフランスの19世紀以降の装丁史に残る、重要かつ有名な装丁家を
網羅したのが本書、ジュリアン・フレティ著『フランス装丁家辞典』である。
本書はフランスの有名な古書店ならば、殆どが所持していると考えられる。
それに加え、”世界中の”フランスの古書を扱う有名な古書店、
フランスの古書コレクターやフランスの古書鑑定家、Auctioneerや
フランスの装丁家やフランスの装丁研究家、
(世界各国の歴史有る)主要な図書館等も既に架蔵していると
断言しても良いと考えられる。
単なる仮綴の本ではあるが、刊行から既に四半世紀以上が経過した今、
入手は大変困難な書になっている。
当時は入手も難しくもなく、また価格もそれほどは高額では無かったのに対し
今現在、入手すらも困難であり、滅多に見かけることもなくなった為に
価格は高騰化している。
その証拠に、本書はオークションにも出品される程入手困難化しており、
それを考慮しても(辞典ながら)稀覯書とも言えるであろう。
しかしながら、そんな状況を鑑みてもフランスの装丁家を
調べるのには、今現在においてはこの本書のみである。
首都パリ以外の、フランス各地に点在する装丁家も勿論記載され、
フランスの19世紀以降の装丁史の(有名かつ重要な)装丁家を調べるのは
最適であり、また必須の書である。
Par Julien FLETY.
DICTIONNAIRE DES RELIEURS FRANCAIS AYANT EXERCE DE 1800 A NOS JOURS,
suivi d’un guide pratique des relieurs,
doreurs, marbreurs et restaurateurs contemporains.
Editions Technorama.1988. Broche.