『人形作家・版画家の中嶋清八 幻想芸術国際展に出品作について』Ⅱ

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最後に、中嶋さんはこの作品について、このように語っています。
”「EXPOSITION L'ART GENSO PARIS 2012」に出品の銅版画、
「採集された地獄」について
ずいぶん前に「ドイツ箱の中の地獄」というタイトルで、
鉛筆画にしたことがありましたが、どうも気に入らず、
はっきりしないまま放置してありました。
銅版画でなければ、と思っておりましたが、
なかなかうまくいかずに3年近くたってしまいました。
このたび、こういったかたちで一応の完成をみました。
エッチングがほとんどで、アクアチントはきわめてわずかです。
雁皮刷りです。

ヒエロニムス・ボスの描く地獄をみていて、この奇妙な地獄を
飛翔する虫が、きっといるにちがいないと考えたのが
この作品を描くきっかけでした。
少女を翅に閉じ込め、地獄を飛翔する蝶。
左右の翅の少女らは、どちらかで目を開け、
どちらかで眠っています。
蝶は羽ばたき、少女らは覚醒と眠りを繰り返し、翅の中で、
永劫の時間を過ごすのです。
そのような蝶の姿は、採集されるにふさわしく、
やはり標本のようなかたちで提示されるべきだと考えました。
標本になることによって、地獄はさらに地獄らしく見えてくるようです。
標本は、いつまでも変わらない、永遠の拘束だからです。
Papilio infernusとは、「地獄の蝶」という意味を、ラテン語風に
僕が勝手に作りました。
leg.誰々というのは、採取者の名前。
私の頭の中で採取されたので、私の所在地を。
採取日は、作品の完成した日付になっています。

これは、採集された、ある地獄の標本なのです。
「採集された地獄」~ Papilio infernus ~
エッチング アクアチント 520mm×520mm(額サイズ)
日本では来年に発表させていただきますので、よろしければご覧ください。”

彼の作品に興味がある方は下記へお問い合わせ下さい。

中嶋清八さんのブログ
http://53435481.at.webry.info/