SF エイミー・トムソン著『ヴァーチャル・ガール』 185冊目

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金色がかった栗色の髪に、
左右色違いの大きな瞳が印象的な美少女マギー。
彼女はコンピュータの天才アーノルドが
自らの伴侶にしようと作りあげたロボットだった。
人間と変わらぬ優しい心を持つマギーだが、
人工知能の開発が禁じられている
今、正体がばれれば即座に破壊されてしまう。
かくして二人は追跡の手を逃れ、
波乱に満ちた放浪の旅に出た…
純真なロボット少女の成長と冒険を描く、
スリリングで心あたたまる物語。
キャンベル賞受賞。
(本書紹介文より抜粋)

今回はエイミー・トムソン著 田中一江訳
『ヴァーチャル・ガール』を紹介する。
本書は早川文庫より1994年に刊行された。
出だしのマギーが現実世界を認識する描写には圧倒された。
コンピューターがどの様に物事を認識し、また認識した事象に
優先順位をつけ、どの様に処理していくのかの過程の記述が興味深い。
この作品に登場するようなロボットの登場は今は勿論の事、
近未来でも到底無理だろう。もし可能ならば、遥か未来の話で、
私などは勿論死んでいるはずだ。
我々人間が、いや我々生物が、何気ない行動や思考はコンピューターには
処理しきれない程の複雑な物だということが、この作品を読めば判る。
物語の進行よりも、コンピューターの情報処理過程が興味深く感じた。