おすすめの本 大石圭著 「殺人勤務医」「湘南人肉医」

殺人勤務医 (角川ホラー文庫)2002年刊行。
湘南人肉医 (角川ホラー文庫)2003年刊行。

僕はただ、殺しまくりたいだけなのだ。
食べ物を粗末にした女、鯉の泳ぐ池に洗剤を撒いた男、
病気の飼い犬を放置した数学教師、子供を虐待する若い母親。
奴らは皆、死ぬべきだ――。
優秀な中絶専門医・古河は、柔らかな物腰と甘いマスクで人望も厚い。
しかし彼の価値観は、幼少期のある出来事により歪みきっていた……。
彼は、死に値すると判断した人間を拉致して地下室の檻に閉じ込め、
残忍な手段で次々と、淡々と殺していく。
美しきシリアルキラーの真の目的に気づくとき、あなたは二度驚く。
驚愕のラストが待つ、美しき猟奇殺人!
(殺人勤務医紹介文より抜粋)

食べることで得られる、女性との一体感、エクスタシー。
湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医だった。
数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていた。
しかし、彼は小さな頃から人肉に対して憧れを持っていた。
そして、ある日、手術で吸引した女性の臀部の脂肪を食べてしまう。
それは麻酔が施されていたため、苦かったが、人の肉を食べるという禁を
破ったことに対して、優児は強いエクスタシーを感じた……。
(湘南人肉医紹介文より抜粋)

大石圭の小説を初めて読んだのは確か「処刑列車」であり、
それが20世紀末であり、図書館で借りたものだったと思う。
大石圭はそれまでは知らず、まさかそんな作風だとは思っても
みなかったために、その作風に驚いた。
21世紀に入り、たまたま「殺人勤務医」「湘南人肉医」の
2冊を同時に購入し、「処刑列車」のような期待を持って
読んでみた。2冊とも「処刑列車」のような大石節が出ており、
なかなかの傑作と感じた。大石圭は昨今官能小説家というイメージが
あるようだが、大石圭の本質は「処刑列車」「殺人勤務医」
「湘南人肉医」の作品だと思う。
大石圭は絶対に万人が好み、またベストセラーにはなることがないが、
人間が持つ闇の世界、闇の感情を描くのが上手い。
文学とは人間の本質を描くものだと思っている。
「殺人勤務医」「湘南人肉医」ともに世間では傑作だと言われているが
その通りだと思う。
もし大石圭の本でおすすめを聞かれたら、この「殺人勤務医」「湘南人肉医」
の2冊を薦めたい。