おすすめの本 吉岡源治 著『焼跡少年期』(1987 中公文庫)83冊目

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今回紹介するのは、吉岡源治 著『焼跡少年期』である。
1987年に中公文庫から刊行された。(単行本は1984年に刊行)
帯にはこう書いてある。
「戦災の傷跡を刻む貴重な体験記」

正にその通りで、貴重な体験記だと思う。
これでもか、と言わんばかりに、
次々と主人公を襲う不幸、困難、絶望・・・。
主人公は浮浪児になり、生きていく為には、
どんな事でもやらなければならなかった・・・。

戦争は都市を破壊したが、また人の心をも荒廃させた。
この本には、終戦後の混乱、風俗、進駐軍、娼婦等が
登場し、いかに現在とは違う日本がかつて存在していた
という事を戦争も終戦後も知らない世代に教えてくれる。