雑記 『冷やし中華はじめました』

美容師に、「お客さん、その年に初めて食う冷やし中華つーのは美味いっすよね?」と
訊かれてしまう季節がやってきた訳だが。
まあ、アレだ。
この季節はさ、食堂の軒先には『冷やし中華はじめました』とか出てるよな。
張り紙といえば・・・「冷たいジュウス有りマス」とか。
そのアリマスつーのは、アレだ、正確には、四角に斜め棒な。
ジュースじゃなくて、ジュウスだからな。
あと、そこは捻って、「ひゃっこいジュウス有りマス」と書いてもOK牧場
(当然、アリのマスは四角に斜め棒な)
あとアリガチなのは・・・
「はいお釣り、100万円のお返し」みたいな。
(インフレかよ)
あとは、そこは捻ったオヤジがいて、「はいお釣り、100両のお返し」みたいな。
(いつの時代だよ。今度は江戸時代かよ)
日本全国どこでも、いつでも、こんな時空とか経済概念を
軽く超えちゃってる、オヤジっているよな。

つーか、まあ、アレだ。
その年に初めて食う、冷やし中華つーのはベラボウに美味いね。
夏の末期になると、もう慣れてしまって、美味くなくなってくるんだな、これが。
以前、俺がまだ若い頃さ、好きな食べ物の話になったことがあってね。
俺、言われたんだよ。
俺の好きな食べ物は、「寿司、うなぎ、ヒレカツ、焼肉」と答えたら、
「それは不幸ですね」って。
彼は、こう言った。
「俺は納豆が好きだから、いつでもどこでも食える。それに安いからね」って・・・。
いつでもどこでも入手しやすいものが好物だと確かに楽だ。

それを踏まえて考えてみると、古書だの、フランスの挿絵本だの、マニアックな映画だの、
マニアックな音楽だの、美術だの、アンティークだのが好きな俺は確かに不幸だ。
野球とか、ゴルフとか、パチンコだの、釣りだの、車だのが趣味の奴が羨ましいと俺は常々思う。
(日本全国どこでもそれは容易く入手可能だ)
趣味が野球とか、ゴルフとか、スポーツ観戦とか、パチンコとか、
競馬とか宝くじとかのギャンブルとか釣りとか、車とか、バイクとか、
アニメとか、TVとか、アイドルや芸能人とか、料理とか、その他諸々の、
そんな極普通のもの、普遍的なものが趣味の奴が羨ましい。
そんな奴は己の幸福を深く噛み締めて欲しい。
普通の趣味趣向を持つことがどんなに幸せなことか。
普通の趣味を持った奴には死ぬまでわかるまい。
俺は、そんな奴が羨ましくて毎夜毎夜、号泣し、枕を濡らす日々が続いている。

野球に関して言えば、俺の知識は小中学の時に停止したまま。
(マンガで言えば侍ジャイアンツを放映していた頃)
野球といえば、知っている知識は、巨人、阪神、ロッテ、南海ホークスだの・・・。
あとは、知っている選手は、髭の剃り跡の長島、ナボナの王、南海ホークスドカベン
トマソン、耳がデカイ江川、イチロー、星野、クイズの坂東英二ゴジラの松井・・・。
これで一杯一杯だ。マスコミに露出頻度が高いほど覚えている。
長島、王、江川、南海ホークスドカベンとかは小中学校の頃から知っていて、
イチローとか星野とかゴジラとかは近年覚えた。
南海ホークスドカベンを覚えたのは、昔ドカベンというマンガがTVで放映された頃、
南海ホークスドカベンと呼称されていた選手がいて話題になったから。
自分の趣味でないもの、全く興味がないものに関しては、覚える気が無い。
それは俺だけの現象ではなく、誰でも例外なく、そうだろうけどさ。
とても大きな金銭的なメリット、或いはそれと同等のメリットでもあるなら、まだ別だが。
古書とかフランスの挿絵本とか美術とか歴史とかの知識はすぐに覚えてしまうのだが。