好きな漫画01 楳図かずお 『漂流教室』

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私が好きな漫画家の一人に、
楳図かずおが居る。
人により天才の定義は違うだろうが、
私は彼を天才だと思っている。
楳図かずおは、人間の暗い面、
ドロドロとした情念、人の心の闇を描くのが大変上手い。
嫉妬、羨望、恨み、欲望、恐怖・・・等を描くのが上手く、
特に女心を描く事にかけては、女流漫画家より上手いと思う。

楳図かずおの『漂流教室』(全11巻)は
今まで何度か映像化されたが、
全て失敗に終わったと私は思う。
やはり楳図かずおの世界を表現するのは不可能なのだ。
漂流教室』は私が小学生の頃に買い、熱心に読んだものだ。
初めて読んでから、もう既に5~6回は少なくとも読んだと思うが、
画力、カット、台詞等には驚嘆させられるのだ。
画面の構成、物語の伏線等、綿密に考えられている。

妄想により怪物を実体化させる・・・。
念を起動力にし、時間を移動する・・・。
そんな設定を考え出す事が出来る漫画家はそうは居ない。
それも今から30年も昔に・・・。

漂流教室』は漫画としても、
また創作物としても完成度が高い作品である。
楳図かずおは、本当に凄い漫画家だと思う。
彼は元々怖がりだと言う・・・。
だからこそ恐怖を表現するのが上手いのだろう。
恐怖を知らない者には、
恐怖を表現しようが無いのだから・・・。

楳図かずおという奇才の漫画家、
或いは『漂流教室』『洗礼』『神の左手悪魔の右手』といった、
作品を万人が知っている訳では無い。
彼はブームに成るほどの売れ筋の漫画家では無いし、
また決して稼ぐタイプの漫画家では無いが、
楳図かずおは不滅であり、
時代を超え、世代を超え、人々に感動、驚き、
恐怖を与えるものだと私は信じる。

 *女心を描くのが上手い男性作家に、アメリカの作家、
  ウィリアム・アイリッシュコーネル・ウールリッチ)が居る。
  彼も好きな作家の一人である。