読書 西村望著「崖っぷち」「溺色」

崖っぷち
西村望
平成10年6月20日初版第一刷発行
祥伝社

男と女の肚の奥底に蠢く業と
欲望が衝き上げる。
第一人者が描く九つの犯罪ドキュメント。
(本書紹介文より)

溺色
西村望
2000年6月15日初刷
徳間文庫

「知らないのかね。雪は殺されて首と胴を
切り離されてね、別々に捨てられてたんだよ」
ゲッ…。雪の叔父さんの言葉にマリは
息を嚥んだ。雪の真っ白な肌が目の前に
浮いて出た。たわわなおっぱいも、
さらなる隠微な箇所も現れた。
2人はかつて女同士の深い仲だったのだ。
誰がいったい?やがてマリは恐ろしいことに
思い至った…(「汚れた暖簾」より)。
実録小説の雄が描破する男と女の修羅8篇。
(本書紹介文より)

今回紹介する西村望の2冊の文庫本には
それぞれ「犯罪ドキュメンタリーノベル」
「愛欲ドキュメントノベル」と表紙カバーに
書かれている。西村望の作品を簡単に言えば
愛欲と犯罪のドキュメントノベルとも言える。
このテーマは西村望実弟西村寿行のテーマと被る。
世間の評価も知名度西村寿行のが高いと思われるが
私には西村望の評価は低いとは言えないし
彼が書く小説は過去の私を夢中にさせ(時代小説を
除いた)彼の作品を全て読破したように思う。
西村望西村寿行も彼らが話題になった
1970年代~1980年代からは今となっては遠ざかって
しまったが、これも時代の流れとも言える。
今回のこの2冊もテーマは同じようなもので
男女の愛欲、欲望が描写されている。
いかにも当時の男性向け雑誌に連載されるべき
(推定読者層の需要を満たす)作品群で
それは西村望実弟西村寿行と同様である。
人間の本質なんて変わりようがないし、
いつでも不変なものだなと再認識させられる。
西村望西村寿行も何度か映画化されているが、
やはり文字だけの小説は映像化は難しいと思わざるを得ない。
男女の修羅場、愛憎、痴情のもつれなどは、この世の中に
人間が存在する限りは決して無くなる事はない。
両者共に四国の出身なので作品には四国独特の方言が出てくる。