樫尾卯吉は高知の山峡にはりついた小集落に生まれた。 唖のように物いわぬ子だった。徴兵をのがれて流浪の生活が始まった時、 彼の人生は狂った。――捕えられて入営、やがて脱走、放火、 殺人未遂、軍法会議。人生をやりなおそうと思った時もあったが、 所詮…
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