ミスディレクション  映画 『レッド・ライト』

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2012年アメリカ・スペイン制作。113分。
(原題 Red Lights)

「血液型占い」という珍妙な物が有り、また一部の人間に
信じられているのは世界で唯一我が国だけである。
wikiによれば韓国、台湾にもあるようだが)
外国では知っている限りは聞いた事が無い。
こんなものを信じるなんて有り得ないし、
余りにも馬鹿げている。
「何を信じようと自由だし、まあ人に翻弄され、
踊らされ続けて、死ぬ」という人生もあるだろうし、
私はそれは否定はしない。
しかし、たった4つの血液型で人を分類し、
またどんな人なのかを判断なんて不可能。
我々日本人は自分の血液型を判っている者が
多いが、それはこの血液型占いというものが
我が国に定着した為に思えてくる。
少なくとも要因の一つであろう。
他国なんて自分の血液型なんて知らない人も少なくない。
他国なんて血液型占いなんて言うものは存在しないのだから。
バーナム効果」や「確証バイアス」により、
科学的な根拠無きものに人が翻弄されるのは問題だと感じる。
私は何事にも物事には理由があり、また確証や根拠が
存在するものであり、また真実というものは実在すると考える。
これを簡単に言えば、「超能力」なんて有り得ないという事だ。
確かに小学生の頃等はクラスでも、そんな「血液型占い」
だの「こっくりさん」だのが流行った時期もあった事は確かだ。
しかし大人になり、大人2人で「こっくりさん」をやってみたら、
不動!全く動かなかった。

本映画はそんな私が見た映画である。
コールド・リーディング」や「バーナム効果」や
「確証バイアス」等を知っていた私は映画の冒頭から、
ミスディレクション(ミスリーディング)にならないように、
どこかに裏があると思い思い見ていた。
映画冒頭のシーンの交霊会のシーンでは、どうせ足か、
何かで動かしているんだろうとかしか感じなかった。

*昔、松田道弘著「超能力のトリック」(講談社現代新書
や同じく講談社現代新書の高木重朗著「魔法の心理学」
「トリックの心理学」等、多数の本を今までに読んできた。
それに加えて子供頃、手品に興味を持った時期があり、
手品の本や手品のタネを買っていた事を思い出す。
ミスディレクションに関しては探偵小説にも
よく使われる手法であり、あの江戸川乱歩
手品をやっており、乱歩の旧蔵書にも手品関連の
蔵書が多数含まれている。

ロバート・デ・ニーロを演じる、サイモン・シルバーが
出てきた時から本当に全盲なのか?
どこに証拠や根拠はあるんだ?みたいな疑惑しか
感じなかった。(シルバーは本映画では前提条件として、
全盲という設定である)
何故カードが判ったかは眼鏡のレンズに反射している
だけなんだろうなと思ったが、やはり、その通りだった。
しかし、最後にやはりサイモン・シルバーは全盲ではなく、
また、今まで超能力とされてきたものは全て何らかの
トリック有りきの事であったことだけは読めたのだが、
まさかキリアン・マーフィー演じる、
トム・バックリー博士が「本物の超能力者」という
展開までは読むことは出来なかった。
(伏線、兆候が有ったが、まさかそうくるとは・・・)
人により色んな感想を持つとは思うが個人的には
面白い映画だなという感想を持った。

**1970年代、ユリ・ゲラーなる人物が来日して、
当時TVで「超能力」を披露したことがある。
スプーンを曲げろだの、壊れている時計を手で握って
みろだの・・・。時計が日本全国で動いたという現象が
起きた様だが、別段珍しくもない。
以前、本ブログで紹介した、「お菊人形」と同じで、
別に不思議ではない。機械式(発条駆動式)の機械時計は
1970年代、そこらの家庭にあったはずだ。
当時クオーツ時計は既に登場していたが、クオーツ全盛の時代
ではなかった。機械式時計は放置して置くと、歯車や軸に
塗布してある油が固着し、動かなくなる事がある。
しかし、例えば、手で握ったりして、(体温)熱を時計に伝え、
その結果、時計の油の固着が溶け、動き出すという事は有るので、
別に不思議でも何でもない。この世の中には超能力なんてものは
無く、また不思議なもの等は無い。ただ、そのからくりが判れば、
不思議では無い。そのからくりが判らないからこそ、
不思議に思うだけの話だ。私は文系の人間ではあるが、
科学で大抵の事は解明は出来ると思っている。
まあ、野口英世の黄熱病の研究の事例から判る様に、
当時の技術では発見出来ない、技術や科学力が追いついて
いかないこともあるかとは思うが、どんな現象も何かしらの
根拠や原因があるはずで、そのからくりを知ってしまえば、
別に不思議ではない。不思議に思うのは無知の為だ。
無知こそが迷信を作り、何でもないことを不思議がり、
或いは恐れる。しまいにゃ魚(鰯)の頭さえも拝み出す。
この世に謎は無い。ただ、表面上はそう見えるだけの事。
人間死ぬまで一生勉強、知識と金はいくらあってもいい。
決して邪魔にならない。