アブサン 『スイスアブサン・キュブラー キュヴェ・ドゥ・サントネール』Ⅰ

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「とりあえずビール」という言葉がある。
日本では毎夜毎夜、飲み屋で、これほど連呼されている言葉はあろうか。
もし日本でアブサンがビールみたいにありふれた酒であったなら
私はアブサンにはまらなかったはずである
もし金やダイヤが道端の石ころのように
ありふれたものだったならば、誰がそれを欲しがるだろうか。
逆にアブサンがありふれた酒で、ビールが何かの理由で
希少な存在ならば、私はビールにはまったかも知れない。

酒は女には共通点が多い。
嵌る男が数多いて、それが原因で破滅したりする。
それが楽しみで生きる男もおり、それが生きがいだったりもする。
私が始めてアブサンを飲んだ時、衝撃を受けたものだ。
こんな酒があったのかという思いであった。
またアブサンの独特の香りが素晴らしい。
日本はアブサンの先進国とはとても言えないし、
また数年前まで日本のアブサンの流通は微々たるものであった。
最近は少しは輸入されているが、多種とはとても言えない状況である。
それほど世界には日本には輸入されていないアブサンが溢れている。
日本では薬草酒と言えば、養命酒な位なもので、あれは薬であり、
常用するものではない。
日本どこでもビールや日本酒やワインは飲めるが、
アブサンはそうはいかなかった。
現在アブサンは日本の酒造メーカーでは作られておらず、
今、日本において購入可能なアブサンは全て輸入品である。
そんな状況で、なかなかアブサンに接する機会が皆無であった私が、
数年前初めてアブサンを飲んだ時は、ただ驚きと新鮮さであった。
酒のつまみには珍味ということが書かれていることが多い。
人は珍味ほど時には食べたくなるものである。