おすすめの本 吉田 司 著『下下戦記』(1991 文春文庫)89冊目

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「賠償金なんていらないんだ。人並みに恋をして結婚したい」
70年代の日本を揺るがせた水俣病裁判。
だが若き患者たちの本音は世間に黙殺されていた。
安アパートの一室に集って自活して、支援者に振られたり
神戸へと駆落ちしたり…。
十代二十代の患者たちと八年間、寝食を共にした著者が
赤裸々に描いた自立運動の軌跡。
大宅賞作品。
(本書裏レビューより抜粋)

(目次)
1 清市の岩世界
2 下下の下下、下下の世界の…
3 袋中学反戦会議
4 若衆宿
5 誰が為に弔金は生る
6 夢中への脱出
7 脱出稼業は、娑婆娑婆ダ
8 生活学
9 にがい町
10 我が腹たち割りて坐り込まん
11 聖し、この夜
12 一人びとりの「天国党」

これは確か新刊で買ったもの。
すさまじい物語である。
本書は、水俣病患者の魂の叫びであり、
また若き水俣病患者の青春、恋を描いたものである。
私は本書を何度も読んだ。
それほど、この物語にはひきつけられるのである。