『文化学園服飾博物館 2015年 ヨーロピアン・モード(デニム特集)』

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*文化学園服飾博物館では新入生が入ってくる時期に
合わせ、今回の展示のような、総括して服飾の歴史が
わかるような展示を毎年行っている。
(勿論服飾の歴史についての授業もカリキュラムに組まれている)

本展では、宮廷が優雅な流行を生み出した
18世紀のロココ時代から、若者や大衆が多様がスタイルを
流行させるとともに、デザイナーの哲学や感性が作品に強く表れる
20世紀末まで、約250年のヨーロッパの女性モードに焦点を当て、
その社会背景とともに紹介します。
また、特集として今回は「デニム」を取り上げます。
19世紀、アメリカにおいて労働者階級の男性のための丈夫な
作業着であったデニムが、時代を経て男女ともに
ファッションとして定着し、デザイナーたちがデニムの流行を
リードするようになった現在までを振り返ります。

今年、2015年も文化学園服飾博物館で「ヨーロピアン・モード」展が
はじまりました。
前年の2014年にも行った、文化学園服飾博物館で開催されている、
「ヨーロピアン・モード」を先日、見てきました。
今回は「デニム」特集ということで「デニム」という生地を使った
ファッションの歴史を見ることが出来たのですが、
やはり、私の興味があるのは、「ヨーロピアン・モード」であり、
特にロマンチック・スタイルやクリノリン(crinoline)・スタイル)
が好みです。
フランスの歴史で言えば、七月王政期から第二共和政期を経て
第二帝政期頃にあたります。
(やはり日本一の服飾博物館だけあって、保存状態は良好、
衣装が痛む為に、毎年展示の衣装は入れ替えを行っている)

まずは1階のデニム特集から見学して行きました。
(以下の文は展示の説明文から抜粋したものです)

「特集デニム」
デニムの基本は経糸が藍、緯糸が未晒しの木綿綾織地であり、
デニムの名はフランスのニーム産地の「セルジュ・ドゥ・ニーム
(Serge de nimes)」から由来されていると言われている。
開拓の地、アメリカに渡った、この丈夫な綾織物の生地は、
19世紀半ば以降、鉱山や鉄道、工場などで働く労働者の仕事着
として、重宝され「リーバイス」や「リー」といった
現在まで続くジーンズ(デニム製のパンツ)の会社を生み出した。
時を経て、20世紀半ばになるとスクリーンの俳優たちの
ジーンズの着こなしに多くの若者が共鳴し、デニムは
自由や反骨精神を象徴するシンボルとして、男女ともに
ファッショナブルなアイテムになっていく。
1980年代にはデザイナーたちもコレクションにデニムを
取り入れたり、デニムを主とした、カジュアル・ラインを
立ち上げるなど、スタイリッシュな着こなしを提案し、
流行をリードするようになっていく。

展示の一番目にはスカートが展示されていました。
・スカート (経:麻/緯:羊毛 木綿 麻)
この展示資料は経糸に無染色の麻、緯糸藍染糸の綾織である。
デニム(Serge de nimes=ニーム産の綾織物)の原型の更に
原型ともいえる。このような厚手の衣織物はファスチアンと呼ばれ、
木綿が一般的に使われるようになる18世紀末頃までは、丈夫で
暖かい実用衣類を作るために用いられた。

展示の2番目にはスモック・サローが展示されていました。
木綿平織地
19世紀~20世紀初め(フランス)
デニムが普及する以前からヨーロッパでは農夫や家畜商人、
労働者の間では木綿や麻を藍で染めた作業着が着られていた。
堅牢で汚れが目立たない藍染の作業着は20世紀初めまで
都市の労働者によっても多く着られたため、
後に労働者階級をブルーカラーと呼ぶことにもなった。

他の展示は、リー(Lee)などもあり、
リーは、もともとは食料を扱っていたが、1911年に作業着の
製造を始め、1913年にはジャケットとパンツが一体化した
新しい形の作業着(いわゆるつなぎ)
「リー・ユニオン・オール」を生み出した。
1926年にはジーンズの前開き部分に、はじめてジッパーを
採用したとの説明文がありました。

他の展示では、あのラングラーもあり、
ラングラー(Wrangler)は作業着会社を買収し、
1947年に設立、リーバイスやリーよりも後発ではあるが、
これらに並ぶ、三大デニムメーカーになっているとの説明文。

他、日本のデニムやエドウィン、ビックジョンなども
展示され、ちなみにビックジョンは1965年に
初めて国産ジーンズを生産した、
メーカーであるとの説明されてました。

そこから2階に向かい、待望のヨーロピアン・モードを見学しました。

ヨーロピアン・モード
1760s~1990s
ヨーロッパモードはグローバル化が進展する、
今日においても常に流行の主軸をなし、
その変遷を辿るとモードは、政治の変革、
科学技術の発達や戦争、恐慌などの時代の影響を
色濃く受け、他方では産業の発達、技術の向上を
もたらすなど、時代に影響を与えながら、
人と社会との間で歴史を刻んできた。

最初の展示は、
「古典主義によるシンプルなスタイル」
エンパイア・スタイル 1790~1830

それから自分が好きな時代の展示がありました。

「工業の近代化と社会の安定 軽やかなスタイル」
ロマンティック・スタイル 1830~1850
1830年代になると、ウエストラインは自然な位置に戻り、
コルセットによって、細さが強調され、ウエストに
ギャザーを寄せて、裾を広げた釣鐘型のスカートが
主流になった。前代より、ふくらみ始めた袖山は
30年代半ばには最大になり、その形から、ジゴ袖
(羊脚型袖)と呼ばれた。袖のふくらみは
肩から袖口に向かって、徐々に下がり、40年には
腕に添ったタイトな袖が流行した。
ドレスの生地はプリントの技術がこの年代に
飛躍的に発展したことから、プリントによる、
小花や幾何学文様などが多く見られる。
また、胸元や肩を覆うためのケープやショールも
多用された。ロマンティック・スタイルの名称は
当時の芸術風潮である、ロマン主義の影響を受けた
もので、可憐な女性像を理想とした。

他の展示は、時代ごとに、

「活動的な女性の登場・デザインと実用の両立」
1890年代のスタイル

「装飾に富んだ、しなやかな曲線美」
アールヌーボー・スタイル
1900~1910

それに、アールデコ・スタイル
1920年~1930年

それから現在までの展示があり、
例えば、ジャンポール・ゴルチエ
ジャンニ・ベルサーチなど・・・。

今回は「デニム」の特集ということで
私好みの時代の展示ではありませんでしたが、
それでも充分楽しむことが出来ました。
また機会があれば、来年も是非行きたい展示です。

会期 2015年3月7日(土)~5月13日(水)
開館時間/10:00~16:30
(4月17日、5月1日は19:00まで開館、入館は閉館の30分前まで)
休館日/日曜日、祝日
(但し4月5日は開館)
入館料/一般500円、大高生300円、小中生200円
*20名以上の団体は100円引き、障がい者とその付添者1名は無料
ギャラリートーク/3月28日(土)、4月25日(土)各回13:30~
(12:30より受付順30名)

文化学園服飾博物館 〒151-8529 東京都渋谷区代々木3-22-7
新宿文化クイントビル 1階 TEL.03-3299-2387
http://museum.bunka.ac.jp/