弱弱しい声はただのフリだ、騙されるな!映画『キラー・インサイド・ミー』

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2010年アメリカ制作109分。(原題THE KILLER INSIDE ME)
映画「ゲッタウェイ」などの原作で知られる、
アメリカの作家ジム・トンプスンの『内なる殺人者』の映画化作品。
昔本屋でこの本を何度か手に取った経験はあるが、
結局買わなかったし、また読んでもいない。
なるほど、こんな話だったのか。
鬼畜という表現ですら生ぬるいほど、
主人公のルー・フォードの一連の行動は冷酷である。
ルー・フォードの変な話し方は我々をいらつかせ、不快にさせる。
物腰が柔らかそうな好青年風で、気の弱そうな声を出す癖に
やることは陰険でえげつない。
ジョイスという娼婦と懇ろになる、言わば大人の関係になる。
また、以前から付き合っている、エイミーとも大人の関係である。
二股をかけたわけだが、映画の何分の一かはラブシーンばかりだ。
2人の女を殺すシーンはリアリティに溢れている。
ジョイスを殴打し、殺すシーンは「ごめんね、愛している、すぐに楽になるから」
と言いつつ、顔が変形するほど、何度も執拗に殴りつける。
エイミーと駆け落ちの約束までして、その駆け落ちの朝、
家に来た彼女の顔に、突然に唾を吐き、腹を殴打、痙攣失禁し、
瀕死の彼女に蹴りを入れる。瀕死の彼女がハンドバックに
手を伸ばすシーンがあり、(彼に渡そうと前もって手紙を書いており)
そこから手紙を出して渡そうとしていたようである。
後日、逮捕にきた警官が彼に渡す、彼女の手紙は泣かせる。
大抵の映画は主人公に感情移入をするものだが、
本映画だけはとても感情移入なんか出来るものではない。
それほど主人公は異常で吉外じみている。
(殺すにしても銃とかではなく、撲殺というのは余りにも酷い)
何もかも満ち足りた生活に思えるのだが、何故こんなことをしたのか、
(彼ではない)我々には到底判らない。
二度と見たい種類の映画ではないが、映画自体の完成度はまずまず。
1950年代のアメリカの地方都市がよく表現されている。
見て楽しくなるような映画ではない、最高に鬱にさせる映画である。

The Killer Inside Me [HD]
(記事投稿時には視聴可能)
http://youtu.be/_U2LUsfeMwg