この本を私は発売と同時に買って読んだ。
或る朝、新聞広告に、
この本の広告が載っており、
面白そうだなと思った私は、早速買い、
徹夜して読んだ事を思い出す。
それから、私は井上ひさしの著作を
あらかた読んでしまったのである。
井上ひさしの特徴を言えば、
物語の進行が脇にそれ、
すぐ話が脱線してしまう点にあり、
またそれが楽しいのである。
そのせいか、全く退屈をしない。
この『吉里吉里人』は大長編であるが、
私は退屈せずに読む事が出来た。
たった数日の間の出来事に過ぎないのであるが、
妄想、回想等が多く、長い物語となっている。
私は、この小説を読んで何度笑った事であろうか。
この『吉里吉里人』は、喜劇でもあり、
また国家の批判であるが、
ここまで読ませる小説家はなかなか居ない。