今回は、ナバル女王 著「エプタメロン」を紹介する。
ナバル女王自身の書いた、『エプタメロン』(七日物語)Heptameron(1559)は、
ボッカチオの『デカメロン』と同じ傾向の作品で、フランス・ルネサンス文学の代表作である。
*ナバル女王とは、マルグリット=ド=ナヴァール(1492~1549)のことで、
ヴァロワ王家の傍流アングレーム伯シャルル=ドルレアンの娘であり、
フランス王フランソワ1世の姉にあたる。
アランソン公シャルルに嫁し、死別してからはナヴァール王アンリ=ダルブレと再婚した。
女流教養人で学芸の保護者となり,その宮廷はフランス=ルネサンスの一中心となる。
自身も『エプタメロン』(七日物語)を著した。
これはボッカチオの『デカメロン』にヒントを得、
72篇の小話を集めたもので、内容は雑多ながら趣味や風俗の考察をも含んでいる。
当時の文人や学者達の殆どが彼女と交渉を持ち、その中にはクレマン=マロ、
エティエンヌ=ドレ,フランソワ=ラブレー等が挙げられる。
宗教改革にも関心を寄せ、ルフェーブル=デタープルを援助し、
カルヴィンとも面識があった。アンリ4世の祖母である。
私が入手したのは、世界奇書異聞類聚の第4巻、5巻「エプタメロン」
国際文献刊行会刊行、大15年~昭和2年の発行のものである。
非売品であり、公称では限定500部となっている。
大変凝った装丁であり、装丁には戦前の前衛芸術家の村山知義が担当した。
(東京にTOM美術館という美術館があるが、創設者の父が村山知義あたる)
アールデコに影響された装丁で、当時の時代色を露骨に反映している。