映画「関心領域」

2023年アメリカ・イギリス・ポーランド合作。
105分。
(原題 The Zone of Interest)


本ブログに書いたことがあるように
今、ホロコーストユダヤ迫害などの本を多数読んでいる最中。
この本映画の評価を検索してみるとやはり陰謀論者が出てくる。
ホロコーストはなかっただのガス室戦後作られただの、
これらのいつものデフォルトの無知さには呆れている。

このような陰謀論者は決まって自分が陰謀とか捏造とか主張する癖に、
それに関する本も読まず検証もせずにそういう主張をする。
原書で読めとは言わないまでも日本語訳された、ホロコーストユダヤ迫害、
強制収容所の本を全部とは言わないまでも少しでも読んだのか、目を通したのかと
言えば、決まって読みもせずに脳内で決め付けている。

いつでも出てくる陰謀論者に踊らされる、無知な人には
私はとても興味を持ってる。何故同じ人間で、あるいは同じ日本人なのに
こんなに見方が違うのか?
彼らは踊らされて何を得るのか?金か、いい女(男)でも抱けるのか?
またその両方か?証拠の一つも提示出来ないのに、そんな主張をし
どんなメリットを得るのか是非知りたいものだ。

陰謀論者に踊らされる、無知な人の学術的な研究調査は知らないが、
彼らの性別、年齢、居住地歴、健康度、政治関心度、服飾やお洒落関心度、
対人能力、生育環境、友人の数、異性交際歴、結婚歴、年収、職種、学歴専攻、
読書歴、読書傾向、性癖、趣味関心興味、尊敬する人は誰か?
インターネットの利用年数、検索能力、どこから情報を得るのか、
知能検査などの調査結果が知りたい。
どうしてこんな人が生まれてきてしまうのかが知りたい。

確かに私も昔はユダヤ人迫害の被害者ビジネスと思ったのは確かだ。
しかし実際に資料を読んだり、資料の画像や動画を見ると考えが変化した。
これは確かにそれを主張するだけの権利はあると考えが変わった。
あれほどの経験をしたのなら主張しても許される。
迫害の主張が出来るならまだ運がいい方だ、何故なら一家全滅は珍しくない。
家族で一人でさえも生き残ることが出来、それを主張できるのは運が良い。
何にしても史実、事実は常に1つしかない。

あと本映画の評価で気になったことがある。
その評価は「監督が怖いと書き、無関心だからだめ?何をすればよかったのか?
無関心ではなく無関心にならざるを得なかったのではないか」という問題提起があり、
「逆に無責任な正義感を煽るのがホラーではないか?」と書いている。
この方が言うことはその通りだと思うし、同意するが、この方のコメントには
私が見たときは共感したというのが1つもなかったのだが、これも怖いことだ。
(正義感を煽ってもその発言者は責任なんて取らない)

(本映画の評価でポップコーンより和菓子を売れというコメントには同意する。
和菓子も洋菓子に押されて売り上げが思わしくないらしいんでこれには同意。
映画館で食べてもポップコーンよりもうるさくはない)

無関心のふりをし、ただの組織の歯車として生きていくこと
しかないのではないかと思う。
公務員のルドルフヘスは国家という巨大組織の1つの歯車でしかなく、
彼がやらなくても、彼の代わりをするのは無数に存在しているわけで、
彼や彼の家族があの状況を変えられるわけでもなく
そのまま突き進んでいくしかなかったのだと思う。
ww2のドイツ関連の本として普通の人びとという本があるが、
その普通の人たちがドイツという一国家を動かし、ユダヤ迫害やホロコースト
積極的にまたは消極的に参加していたり、またはただの傍観者として存在したりする。
または反対し、助けることもしたりする。
これは戦争だけではなく、この日常にも存在し、いじめやハラスメントや
差別なども普通の人がしている。

原爆投下をした、B29の搭乗員も国家の命令として任務を果たしただけで
そこには個人的な悪意や憎悪からの行動ではない。だから彼らは一兵士として
国家の歯車として任務を遂行し、それに関しては悪いとは認めることも絶対しないし、
謝罪もしないのは当然なことだ。あまりにも巨大化した組織、あるいは国家では
一人の人間はただの任務をこなすだけの歯車だけでしかない。
皆が無関心のまま生きている。この瞬間にも人は病死し、事故死し、餓死したり、
自殺したり、孤独死したり、いじめに合い、差別にも合う。
しかし我々は神でもなく、この世界の創造主でもなく、
この世界の支配者でもないのだから、それらをすべて止めさせることも助けることも
出来やしないのだ。

The Zone of Interest | Official Trailer HD | A24
(記事投稿時には視聴可能)

https://youtu.be/r-vfg3KkV54?si=KyFD1CnLcO8K7-J4

Mum knew what was going on’: Brigitte Hoss on living at Auschwitz, 
in the Zone of Interest family

https://www.theguardian.com/world/2024/mar/24/brigitte-hoss-auschwitz-zone-of-interest-rudolf-oscar-winning-thomas-harding

The family who lived next door to Auschwitz: 
As new film tells chilling story of Nazi monster Rudolf Hoss, 
we reveal how his wife fled to the US - while his daughter became 
a Balenciaga model who hailed her father as the 'nicest man in the world'

https://www.dailymail.co.uk/femail/article-13018853/zone-auschwitz-film-director-jonathan-glazer-tv-techniques.html

今、読んでいる途中の本で「アウシュヴィッツのお針子」という英国の服飾史研究家
が書いた本はユダヤ人のお針子たち、ルドルフヘスとその妻、子供、住んでいる住宅、
それにドイツとドイツ占領地とユダヤ人が関わる服飾界に関し、
かなりの枚数を費やして詳細な調査結果を書いている。

日本では話題にならない本だが、これほどの記述はなかなか書けるものではない。
せいぜい日本で話題になるのはオランダのユダヤ少女の日記くらいなものだが、
まったくの無関心よりはまだ良いだろう。

The Dressmakers of Auschwitz:
The True Story of the Women Who Sewed to Survive. 
By Lucy Adlington.
(記事投稿時には視聴可能)

https://youtu.be/bnXRBZ5-_zQ?si=O1eC5_iEPplStfHA

The Dressmakers of Auschwitz with author Lucy Adlington
(記事投稿時には視聴可能)

https://youtu.be/PfmiVsjYaq8?si=DEOFk8fCAdrHIy98