現代イギリス文学『コレクター』(1963)を紹介する。
この本も私は今までに数回読んだ。
有名な本ではあるが、巷では、それほどは読まれていない。
この物語で肝心な事は監禁でもリビドーでもない、
軋轢であり、対立であり、階級闘争である。
この物語に登場する二人は余りにも違いすぎた。
余りにもかけ離れた者同士は理解し合う事は難しい。
階級は現に存在する。
今でも、そして、いつだって、いつでもどこでも・・・
階級という大げさなものというより、
普遍的に人は同程度の者同士のが理解しやすいという傾向にある。
学歴、出生、境遇、状況、夢、ライフスタイル、趣味、好き嫌い・・・
人と人との狭間にはこのような、目に見えない深淵がある。
それを乗り越えた時、出会いが生まれる。
ジョン・ファウルズ
新しい世界の文学
『コレクター』
The Collector (1963)
1966年白水社より刊行。